Жカラフルマジック 共通① ヒーローは実在するの?
私はいま――――――
「きゃ~!」
「フハハハ! 誰も助けなどこんぞ!」
「たすけて~“カラフルマジック”~!」
「そこまでだ!」
「何奴!?」
「赤き炎がお前を焼き尽くす!
ファイアーレッド参上!血祭りバーニング!!」
「涼やかな青は乾いた心を潤す。ブルーウォーター参上!溺死必至の水責め攻撃!」
「黄なる欲の塊。イエローマネー参上!お前の残高ゼロにしてやる!」
「緑は癒し。グリーンウィード参上!無駄毛の雑草魂!」
「紫なる闇は汝を混沌の魔淵へ引きずりこむ。パープルカオス参上、永久の眠りに誘ってやる!」
「桃色の世界へようこそ。ピンクゴールド参上!うふふ…お兄さんいい筋肉してるじゃない」
「すべてを塗りつぶす黒。シルバーブラック参上!」
「白き力は正義の光。ホワイトジャスティス参上!悪は絶対許さない!!」
「全員揃って属性戦隊カラフルマジック!!」
「来たなカラフルマジック!
このプリンス・オブ・ダール・マターが相手になってや……ぎゃああああ!」
呆気ない終わりだった。
「お姉さん、大丈夫ですか」
「助けてくれてありがとう、カラフルマジック!」
――――
「あー戦隊ヒーローって最高!!」
私は小さい頃に兄と一緒に戦隊物を観て育ったから。
幼い頃に見て感動したものは、大人になっても忘れないみたいだ。
ヒーローショーに夢中になりすぎて、兄・刻郎を忘れていた。探そう。
「透子<とうこ>」
「んもーお兄ちゃんどこいってたのよ!!」
いなくなるなら待ち合わせ場所くらい言ってからにしてほしい。
「……」
刻郎は目そらす。ショーを観るのが恥ずかしい。という理由からどこかに行っていたようだ。
「あんなの女子高校生や大人が見るもんじゃないだろ…」
「あんなのってなに?
大体ヒーロー作ってるのは大人じゃん。
それにせっかくヒーローショーやってるんだから、楽しまないともったいないし!」
「はあ…どうしてお前は戦隊ヒーローが好きなんだ。ロボダムとか宇宙マンとか仮面パイロットじゃだめなのか?」
例えにどれも差違がないけど。
「なんでだろ。カラフルだから?」
色がたくさんあって楽しいし。それに――――
ヒーローが悪い奴をやっつける。
困っている人がいたら助ける。
誰かが悲しんでいるときは自分も悲しくなる。
相手が笑えば自分もつられて笑う。
毎回それの繰り返し。だけど言葉には表現できないくらい面白いし好きなのだ。
「その戦隊好きを直さないと、彼氏できないぞ」
「そんな彼氏いらないし。私、彼氏にするなら戦隊ヒーローがいいなあ」
「お前はヘルメットが好きなのか……そうか、兄ちゃん知らなかったよ」
「違うから!」
コスプレでもいいからいないかな――――――
家に帰る最中、どこかで叫び声が聞こえた。
「なに、ひったくり?」
「俺が見てくる。お前はどこかに隠れてろ」
「ちょっとお兄ちゃん!」
こんな都会の住宅街にすぐ隠れられる場所なんてない。
というか私には此処等の土地勘がない。
地方からヒーローショー目当てに来たのだから。
「おや、こんなところに美しいレディがいる」
銀髪の外人らしき風貌の男性がこちらにやってきた。
「あの、さっき悲鳴が聞こえたので兄が私を置いて向こうに行ってしまったんです」
「では何か事件でもあったのでしょうか?」
やはり彼もそう思ったようだ。
「よろしければ私と現場へいきませんか?」
◆彼と一緒ならいいかな?
〔行きます〕+☆
〔待ちます〕+★
〔私一人で〕+無し
――――どう返事をするかを考えると彼が話し始めた。
「都会は危険が多いですし、一人でとどまるのは危険です」
「それもそうですね」
私は彼と共に兄を探しに向かった。