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ダウト  作者: うちょん
4/5

おまけ①【トランプゲーム】




 「またオ―ガスの勝ちかよ」

 「なんか細工してねぇ?」

 「してない」

 「なんでいっつもいっつもストームが勝つわけ?俺だって頑張ってるのに」

 「頑張りは関係ねぇけどな」

 三人は、トランプ勝負をしていた。

 勝負とはいっても、賭けるものなどないため、最下位は罰ゲームということにした。

 だが、なぜかオ―ガスばかり勝っているので、ロイもラルトも面白くない。

 「どんな手ぇ使ってんだ?」

 「手って、普通にやっているだけです」

 「あ!ポーカーとかやってる奴って、イカサマ多いって聞いたぜ!それだ!きっとストームはイカサマしてんだ!」

 「・・・イカサマってお前・・・どうやってイカサマしろってんだ?七並べで・・・」

 そう。三人がしていたトランプは、なぜか七並べ。

 そもそもはラルトが神経衰弱が得意だのなんだの言いだし、ロイがそれに乗っかったため始まったトランプ遊び。

 だが、神経衰弱はオ―ガスの圧勝。

 そこで、違うゲームをしようとラルトが言い、ババ抜き、銀行、ダウト、ページワン、セブンブリッジなどやってきたが、オ―ガスばかりが勝っていた。

 そこで、最後の勝負の舞台にあげられたのが七並べ。

 「出せるの出してくれよ!俺が出せないじゃねーか!!!」

 「いや、そういうゲームだろ」

 「あー、俺も出せねーな。いい加減に素直になってとにかく置いて行くことに専念しろよ、オ―ガス」

 「いえ、ロイさん。それも戦略のひとつなのですが」

 一向に勝てないロイは、もう嫌になったのか、本当に適当にやっている。

 一方のラルトは未だ必死に頭を動かしてオ―ガスに勝とうとしているのだが、またしてもオ―ガスの勝ちだった。

 「なんでだよ!!!」

 そう言って、トランプを集めてシャッフルし、また配りだした。

 「まだやるのか」

 時間はもうかれこれ深夜一時を過ぎていた。

 それでもまだ続けようとするラルトに、オ―ガスはため息を吐く。

 そして、再び配られたカードを一通り見ると、ある計画を立てた。

 隣にいるロイは半分寝ていて、半開きの目はカードを見ているのかさえ分からないが、ちゃんとカードを並べて行く。

 いや、もともとこんな眠そうな顔だったかもしれないと、失礼なことを思っていたが。

 「次、ロイさんですよ」

 「ん?ああ・・・」

 いや、やはり寝ていた。

 「これだあああああああ!」

 「・・・今何時だと思ってんだよ。静かにしろ」

 「いてっ」

 横で大きな声を出されたロイは、吃驚してガタン、と椅子から立ち上がり、ラルトの頭を思いっきり叩いた。

 ああ、痛そうだなんて、本当に他人事。

 またロイが椅子に座り、オ―ガスの置いたカードの横に自分のを並べる。

 「お。今回はやけに素直に出してくるな」

 「ええ、まあ」

 「・・・オ―ガス、お前・・・」

 「なんでしょう?」

 「いや、まあ、それがいいな」

 二人の会話など耳に届いていないラルトは、並んでいるカードと手元にあるカードを身比べて真剣な面持ちをしている。

 そんなラルトを横目に見て、瞬きと同時にオ―ガスは時計へと目をやる。

 ラルトが負けず嫌いなことは前前から知ってはいたが、こんなことで一々睡眠を削られていたらたまったものではない。

 ラルトの手にあるカードの枚数、ロイの手札、そして自分のものを数える。

 だいたい各自の持ってるカードを予想しながら、オ―ガスはカードを置いて行く。

 そして、とうとう・・・。

 「やったーーーーーーーーー!!!!!俺の勝ちーーーーーーー!!!!な!?やっぱり俺ってトランプ強いだろ!?わかってたんだよ!これが本来の結果なんだよ!ハハハハ!ロイもストームも大したことねえな!!」

 「良かったな。じゃあこれで終わりだ」

 「そうだな!最後に本来持っている自分の力を出し切って勝てたから俺はもう満足だ!大満足だ!」

 「じゃあロイさん、休ませてもらいます」

 「・・・ああ。ゆっくり休めや」

 まだ勝者の余韻に浸っているラルトを横目に、ロイは鼻で笑った。

 「ラルト」

 「なんだ?ロイ」

 「・・・お前、幸せな性格してんな」

 「なんだよ、それ?あ、褒めてんのか!?なんだよー、トランプで勝ったくらいでー。そんなに褒めんなよー!」

 「・・・馬鹿と紙一重どころか、同じだな」

 「え?なに?」

 「なんでもねーよ。あーあ。俺も眠くなってきたから寝るぜ」

 「負けたからって枕濡らすなよー!」

 「明日しごいてやる」

 そんなロイの最後の言葉など聞いているはずもなく、ラルトは喜びの舞い。

 ラルトはその夜ずっと歓喜に打ちひしがれていたようだ。

 翌日、ラルトは夜更かししたため寝坊した。

 そして起きたときにはすでにロイとオ―ガスは宿におらず・・・。

 「嘘だと言ってくれーーーーー!!!」

 叫びながら、二人を追い掛けていったそうだ。

 「ったく。あいつはいつになったら自己管理が出来るようになんだか」

 「まあ、しばらくは無理でしょうね。旅でもさせますか?可愛い子には旅をさせよと言いますし」

 「可愛い子か?あいつ?」

 「いえ。全く」

 「その辺の猛獣と戦わせてりゃあいいんじゃねえか?」


 「ロイーーーーー!!!ストームーーーー!!!昨日のことは忘れてやるからーーー!!!」



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