真実
9章 「真実」
『全ての始まりはアルメリア滅亡の前にあると思います。』
あたしは兄の言葉を伝える。
アドリアン兵はあの日、王都に向かってまっしぐらだったらしい。
つまり、王城を狙っていた。
アルメリアの王城は当時、堅牢でまず、堀さえ越えられないと言われていた。
『つまり、王族は生き残るよう襲われた。
だから、あたしは生き残れた。』
ローランドはあたしの話に謎を覚えたらしい。
どうして王夫妻は命を落としたのだ。
それはあたしの取り戻した記憶に答えがあった。
『城下町の民草を守るために。』
ただ、どうして兄が、騎士団に入っていた新兵の兄が残ったのかわからない。
ただ、両親が最後に頭を撫でていったことだけは覚えている。
きっと、最後を悟っていたんだろうな。
だから、あたしとお兄様を残したのかしら。
『あたしはその後、記憶を失い、兄に城から連れ出されていなかで育てられた。』
兄は年を3つ鯖を読み、13の父として育ててくれた。
父親とごまかすなら、もう少しだけ年を鯖読んだほうがよかっただろうが自身もまだ若く、少年だったためにかなわなかった。
『兄に育てられ、当時の兄と同じ年になってすぐ、つい、この間のことです。』
数多のアドリアン兵に取り囲まれ、家に火を放たれた。
このままでは死んでしまう。
火に巻かれて死んでしまう。
『兄は冷静に家の隠し扉からあたしを押し出して、自分は囮として外に出て時間を稼いだ。』
その時、兄は生きろと言った。
生きて幸せに。
それはあたしが兄に言いたかったことだ。
あたしも15になったことだし、どこか住み込みの仕事でも探して自活して兄には村で幸せになってもらいたかった。
いつ、言い出そうかと考えていた矢先だった。
『あたし、アドリアンが憎い。
あたしから、家族も、希望も、未来も、ささやかな幸せも失ったアドリアンが憎くてたまらない。』
涙なんて流れない。
だって、村を出てからずっと泣き通しでいたもの。
悲しみも憎しみも癒えてはくれなかったけれど。
泣くより兄の名において誓った復讐のほうが大事だった。
『そろそろ本当のことを話してもらおうか。
親父。
どうしてアドリアンがアルメリアに戦を仕掛けたのか。』
セイレーンの言っていることが本当なら、なぜ、今さらになってアドリアンが故国アルメリアの生き残りの王族なんて命を奪う必要があるのか。
少なくともアドリアンとアルメリアの王位継承権第一位である俺たちは聞く権利がある。
どうして両国は戦わなければいけなかったのか。
どうしてアルメリアが滅亡しなければならなかったのか――――。




