出会い
4章 「出会い」
『おっ、お腹が空いたぁー』
目の前で少年が倒れる。
どうやら、空腹で貧血を起こした模様。
とりあえず、日陰で休ませる。
何だってこんなときに。
『うっん。』
少年が目を覚ました。
頭を押さえ、苦し気に呻く。
気分はどうだ?
声をかける。
『わぁっ。すみません。
目の前で倒れたから、驚いたでしょう。
ここ数日、飲まず食わず、眠らずだったから。』
こんな華奢な身体をして食事も睡眠もしていないだと?
そりゃぁ、ぶっ倒れてもおかしくはないが。
それにしても、華奢過ぎると言っても過言じゃない。
ちゃんと食ってんのか?
『お前、旅の者か?』
少年はどうやら連れもいなさそうだ。
どう見ても、12,3がいいところだろうか。
こんな幼い子供が一人で旅をしているのだろう?
『はい。王都まで。
使用人の口を探すために。』
使用人の口ってどうやっても、下働きぐらいにしかならないだろう。
どうして切羽詰まった顔をしているのだろうか?
『王都で口を?
下働きぐらいなら君の年齢でも行けるだろうが。』
まるで子供扱い。
あたしがいくつだと思っているのかしら?
アドリアンも落ちたものね。
父や母はこんなやつらのために…。
そして、兄はあの戦を知らない世代によって…。
皮肉なものね。
『僕は15です。
もう、一人で生きていける年です。』
そう、お兄様のためにも、あたしは成し遂げないといけない。
この国の皇を倒す。
そして、命を絶つ。
『おい、神様見習い。
妹は幸せになってないし、そもそも、アドリアンの人間はだめだ。
父様たちを殺めたんだ。』
怒りもそこそこに神様見習いを怒鳴る。
そもそも、セインの身分証を持たせたのは兄の遺品としてだし、万が一のことを鑑みてのこと。
なのに。セイレーンは復讐すると誓う始末だし。
こんなことなら、セイレーンを連れて逃げればよかったか。
もっと、条件のいい男だったら諦めがつくのに。
《それでも、今の彼女にはうってつけの相手です。》
神様見習いはどうやら、あのあと上司に張り飛ばされたらしく、表面上言葉遣いを良くしたつもりらしい。
どんなところがうってつけかわからないが、とりあえず、悪い奴では無さげだ。
《とりあえず、地位のある方のご子息です。》
まあ、それなら許せるかな。
セイレーンだってもとはアルメリアの王女なのだから。
国が滅亡したあの戦いがなければ今ごろ、どこに嫁がせるかで父様たちと頭を悩ませていたことだろう。
この出会いがかわいい妹の幸せを開いてくれるといいのだが。
一抹の不安とあの兵士に既視感を覚える。
最も、どこで会っているか記憶ももうとおいが――――。




