告白
32章 「告白」
『…、ローランド、あたし、あなたに話さなければいけないことがあるの。
聞いてくれる?』
彼を四阿で見つけた。
面と向かってだと怖気づいて言えなくなってしまうだろう言葉。
背後から抱き締めて伝えた。
彼は言葉にしない代わりに頷く。
『あたし、ローランドに再会する直前に誓ったの。』
僕は誓う。
故国、アルメリアの民草として立派に散ることを。
今は無き父と母、兄に立派な戦いぶりを見せる。
今は懐かしき誓いの言葉。
ローランドは無理に身体の向きを変えて、あたしを頭から抱き締めた。
『ごめん。そんな酷な誓いをさせて。
早くにネッケルのことに気づいてれば。』
そうすれば、セイン様もセイレーンの庇護者としてセイレーンを養育できたのに。
そうだろう。
確かに、不当な理由で攻められなければセイレーンは今頃、幸せな時間を過ごしていた。
だけど、そうしたらデイネストを始めとする村の皆や、ヒースを始めとするレイチェルの家族には出会えなかった。
悲しいか過去を乗り越えて皆幸せになるって知ることができた。
だから、兄もあたしを育てて命をかけて守ったことを幸せに思ってる。
そして、そんな兄と両親を世界で一番尊敬してる。
お願い。あたしに彼が好きだって告げる勇気をちょうだい。
彼を本当に心のそこから愛してる。
『なぁ、神様見習い。
やっとセイレーンが幸せに生きたいって言ってくれた。』
《姫君が兄を幸せにしてくれたらいいのに。
兄上だって大切な人を亡くしてる。》
感極まって泣きそうな彼につい、うっかり相づちを打ってしまう。
まさか、アポロン皇子?
確か、事故で死んだとかって言ってたけど。
こんなところで神様目指してるわけ?
なんで、事故死したの?
《突っ込んでくる馬から兄上を庇って。
だけど、再会したのが兄上の方でよかった。》
このまま、神様になるのか?
それとも、何か変わったのか?
僕が死んでここにきてから。
《この仕事が終わったら転生する。
セイン王子のお陰で転生の環に乗ろうと思った。》
もし、近くに生まれ変わったら、仲良くしてくれよ。
ともにきょうだいの恋愛を見守った同士として。
アポロンは兄を僕は妹を。
想い合っていたのに引き離された二人。
だけど、神様はこうして二人を引き合わせてくれた。
最初は、愛してもいない人のもとに嫁がされる妹を不憫に思った。
だけど、今は無能なハゲ茶瓶…、お前の父親が止められる約束にしてくれたと知って、尊敬した。
なぁ、アドリアン皇がああなったのはアポロン皇子が死んでしまったから、だろう?
だから、兄上は父上以上に国を守っている。
アポロンの答えは至極全うなものだった――――。




