希望
3章 「希望」
『痛ててっ。』
もう傷は痛くないはずなのに手は腹部を押さえる。
えっと、僕は死んだんだっけか?
そうそう、5人ぐらいの兵士に囲まれて腹をグサッと。
血の気が引くってあんな感じなんだ。
《あなたは死にました。
セイン=アルメリア。享年25歳。
故国アルメリア王国王子。》
天の声?に死亡宣告を受けて死亡が確定したようだ。
そりゃぁねぇ。あれだけ血の海になれば死にますよね。
ちなみに、死因は失血死でしょうか?
それとも、ショック死?
《後者のようです。》
ああ、どうも。
それで、僕はこれからの人生?余生?
違う、死後の生活はどうすれば良いのでしょう。
それとですね、僕の年齢は28ですよ。
最後まで妹についた嘘つき続けさせてください。
年齢詐称だと言うなら別ですが、もう、この年じゃ変わらないですよ。
《Yes,all right.》
(解りました。)
えっと、なぜ、外国語なのでしょうか?
そして、訳をつけるなら意味ないと思うのですが。
その言語知っているので、訳はいらないです。
《あなたの望みはなんですか?
3つまでなら、気分で叶えるかも知れませんよ。》
こっ、この神様、気まぐれなんだ。
だから、外国語を使ってみたりしてるんだ。
とりあえず、望みを。
『僕は妹が幸せになるところが見たい。』
笑った顔も泣いた顔もずっと、見守って来たんだ。
セイレーンの幸せが見たい。
手塩にかけて育ててこれからだったのに、死亡フラグが立って死んだんだから。
神様だって僕が幸せになるところを邪魔してくれたのだから。
《えー、あー、その件につきましては謝罪いたします。
ただ、私も忙しい身なのですよ。
死人や地上の死にかけの人間から望みを聞いて予算を決めて。
事務の仕事から、やっと神様見習いになったんです!》
あのぅ、号泣している?音が。
とりあえず、鼻水ぐらい拭いたらいかがでしょうか?
あれ、ですか?
最近、北の大きい町の領主の横領の謝罪会見があった、あれでしょうか?
神様、…。あっ、見習いなんでしたっけ?
とにかく、僕の処遇を決めていきましょうか。
ねっ?神様見習い。
《そんなに妹の幸せが見たきゃ、その過程も見てこい。
ついでに、セイレーンだっけ?
の、幸せのなかに生まれ変われや。》
えっ。それってひょっとして、セイレーンの子供に?ってことですか?
セイレーン、助かったんですか?
長生きするんですか?
幸せに子供にも恵まれるんですか?
《ごちゃごちゃ言わず、とっとと行きさらさんかい!かすっ!》
ドゴッ。鈍い音がして意識が薄れる。
もっと、丁寧に扱おうよ、ねぇ?
まっ、とにかく希望は叶えられた――――。




