召集
27章 「召集」
『セイン、君は本当に王女殿下なのか?』
『隠していて申し訳ありませんが、本当です。
私は国を憂い、後世を国民に託そうと死んだフリをしたわけですが、奥様に連れられて行った王宮で見つかってしまったのでしょう。』
それで、どうする気だね?
心配をして聞く。
召集がかかっては逃げも隠れもできないでしょう。
行くしかありません。
ただ、一国の王女である私が国民を謀るような罪を犯したのです。
どうなっても仕方のないことだと考えております。
しかし、奥様や、お嬢様、旦那様に類が及ぶことだけはしたくありません。
どうか、私が王女だと言うことは知らなかったで通していただけませんか?
そうすれば、私は安心して赴くこともできましょう。
お願いします。
旦那様しか私の正しい身分を知る人はいません。
『わかった。セインには王宮に使いに出てもらったこととする。』
きちんとセインと言ってくれたことに感謝しつつ、この家を出る準備をする。
お母様の遺してくれたドレスを残しておいてよかった。
だけど、あくまでも今のあたしはレイチェル家の夫人の使用人。
大丈夫。大丈夫だよ。
小さいときお兄様がかけてくれた呪文。
怖くないもの。
『レイチェル家が使用人、セイン=アルメリア。
お召しにより参上しました。』
旦那様が持たせてくれた短剣を手に携えてやって来た王宮。
臥竜の最後の騎士としてしっかりやって来るように。
兄の代わりに元、臥竜のメンバーのレイチェル侯爵がかつを入れてくださった。
そして、レイチェル家にある臥竜縁の短剣を持たせてくれた。
感謝してもしきれない恩情にあずかった。
『セイレーン、やっと見つけ出した。
お前はあの日、皇に俺に話したいことがあると言っておきながら逃げた。』
『お言葉ですが、あたしは逃げたわけではありません。
あたし、仕事をしていただけです。』
国を出ようとは考えませんでした。
ただ、一人の娘に戻っても尚、あなたの心があるか確かめたかっただけです。
毅然とした態度で召集に応じたセイレーン。
だが、王女としての柔らかな印象は消え失せ、そこにいるのはただ、一国の騎士団に入った兵士であった。
臥竜騎士団の紋章がついた短剣を手に携えて来た。
古の時代より続きし騎士の集団。
その統制が取れた無駄のない働きに人々は、畏怖の念を抱きこう呼んだ。
王族をお守りするのは臥した竜だと。
幾代目かの王の治世、王は自らを守りし名もなき騎士の集まりに名を付けた。
臥竜騎士団と。
町の人々はいつしか縮めて、臥竜と呼ぶようになった――――。




