約束
22章 「約束」
『ローランド、あなた、あたしたちの父親同士が今のあたしたちぐらいの年に交わした約束を知っているかしら?』
突然返された意味のわからない質問に知らないと答えた。
王太子と皇太子は当時、隣接をしていて仲の悪かった祖国の国交を図るため秘密裏に約束を交わした。
それは自分達が国を継承したら、いの一番で友好国としてやっていく約束だった。
その証としての約束。
それは時を経てセイレーンとローランドの代で果たされる代物だ。
あたしは妙齢になり次第、アドリアンに嫁ぐことが決まっていたの。
順当にいけば、若き皇太子のローランドか、宰相になるだろう力量を備えたアポロン皇子だわ。
だけど、アポロン皇子が亡くなっていたと考えると候補はあなただけね。
『だけど、おあいにくさま。
約束をしたのはあたしの父で、あたしじゃない。
それに、友好国ではなくなっていたし。』
アドリアンは友好国であるはずのアルメリアを属国扱いをした。
あたしは許していない。
『例え、あなたのことが好きだとしてもアドリアンは信用ならないわ。』
いい放つが同時、その場から立ち去る。
ああ、そうだな。
信用ならないよな。
だったら、信じさせて見せるだけだ。
『…して、ローランドはいったい何をやっておる?』
定例の会議中、皇は息子に声をかける。
ローランドが最近、ああでもないこうでもないと色々思案を巡らせているのを城内のあちこちで見かけるという声が聞かれるようになったためだ。
会議の場で交わす会話ではないな。
『はぁ、想う人がいるのですが、彼女は僕を信じられないというのです。』
想う人はセイレーンのことだ。
セイレーンに信じてもらいたい。
アルメリアを属国として扱ったのは父の政治が悪かったせいだ。
アドリアン変革するには…。
『皇よ。あなたはアルメリアの王位継承者がいない間、アルメリアを属国として扱った。』
アルメリアの友好国としてアルメリアの国民を保護するべきだったんだ。
なのに…。
俺はこのために生きてきたんだ。
ここに立っていたのがアポロンだったなら、役不足だっただろう。
『皇よ。あなたにはアドリアン皇国の皇位から退位していただく。
新たなる、アルメリア王家と友好国として対等な立場に立つ同年代の皇になる。』
言ってしまった。
しかし、アドリアンがアルメリアを守るにはこの愚皇では務まらない。
セイレーン、すべてが終わったら今度こそ見返りなしにアルメリアとアドリアンの友好を国中に広めてやる。
そして、もう二度とアドリアンの民がアルメリアの民を蔑むことがない国にして見せる。
約束だ――――。




