誓い
2章 「誓い」
『僕は誓う。
父であるこのアルメリア王家最後の王に。
僕は妹をこの国の王女を守る騎士になると。
父と偽り守り続けていくと。』
アルメリアの最後の王子は誓う。
長きときの流れの先に幸せな妹の姿があらんことを。
これでアルメリアの王子は死んだ。
代わりに13で一人娘を作ったバカな男に。
まだ、娘を養うだけまともだと思わせないと。
田舎に妹と共に移り住む。
訳ありの若い父親と娘だ。
村人たちの好奇な目と侮蔑にあいながら、ただ一人の肉親を守る。
妹はあのとき、自ら矢面に立ち民草をかばって死んだ父母を見るに絶えず記憶を無くしたようだった。
だから、誓いを立て妹を育て始めた。
そして、嫌なことを知る。
『セイン、知っているかい?
アドリアンの皇がもし、王女様が生きていらっしゃったなら、妾妃にするつもりだったとよ。
王女様もあのとき死ねてよかったかもしれないなぁ。
親とおなじぐらいだ。』
何が親と同じぐらいか聞かなくもわかる。
年齢だ。年齢。
村娘としてのセイレーンは13年上だとごまかした年齢を信じてくれている。
本当の年齢は15でやっと年相応に見えるぐらいだ。
童顔なんだ、とごまかしてみても3つが限界だった。
だから、13歳の父親と嘘をついた。
恥ずかしいから年のことは言ってくれるなと恥じらっていそうなふり。
母親は死んだということになっている。
もし、アドリアンの奴らがセイレーンの存在に感づき狙われたら…。
そのときは命を懸けてセイレーンを守り、セイレーンを…。
覚悟はできていた。
できていたし、準備もバッチリだったからセイレーンをおいて逝く決意だってできた。
ついでに、セイレーンを他の男に渡す決意も。
セイレーン、母さまに似てスタイルは…。
言及を避けよう。
顔立ちは美しかった母に似て線が細く、清らかな性格で肝が据わってて、庶民的で、家事ができて。
最近じゃぁ、セイン所のヨメ扱い。
いや、かわいいけどさぁ。そりゃぁ。
手塩にかけて育てた娘だし。
だけど、幸せな人生を送ってほしい。
たとえ、庶民的でも、セイレーンが幸せならいいんだ。
だが、並大抵の男にセイレーンはやれない。
『セイレーン、生きてくれ。生きて…、幸せに。』
僕の分まで生きて幸せになって。
これでやっと誓いが果たされたのだから。
セイレーンを養育し始めてはや10年。
最初はひもじい思いも、侮蔑にさらされる屈辱も味わった。
それでも、親子二人頑張って生きてきた。
ねぇ、神様、僕にご褒美をください。
富とか名誉とか、そんなものいらない。
というか、これから死ぬのにそんなの、意味ないよね。
だから、誓いと引き換えに他のものを望むよ。
神様が鬼畜でも非情でもなければ叶うだろう――――。




