天国
17章「天国」
『神様見習い、アポロン王子に会いたい。』
アポロン王子は死んでから、やっぱり生まれ変わってる?
僕と同じように。
《いいえ、アポロン王子は転生を拒否していますね。》
アポロン王子とはまたなつかしい名前だ。
とりあえず、天界政府に入るために事務から仕事をこなしてきたけど、まさか、昇格試験の課題が隣接の国の王子だとは。
『どうして、アポロン王子は転生を拒否しているんですか?』
わからなかった。
どうして天国で過ごすことを決めたのか。
まだ、転生をした方が良いのではないだろうか?
《アポロン王子は失うことが恐いから。
転生で記憶を失うことを怖れている。》
大切な人を守って死んだことは辛くない。
とても慕っていたから助けたいと思った。
それは愛がないとできないこと。
たとえ、命がなくなってもいいと思っていた。
『だけど、だからこそ幸せになって欲しいと思っているよ?
ローランド王子は。』
兄様、そんなこと言わなかった。
ずっと、僕のことを悲しんで泣くことをしない人だったから。
『悲しまない家族なんて居ないのに。』
どうしてこの人はこんなにも欲しい言葉を言うのだろう。
セイン=アルメリアは両親を亡くして…。
だから、だから、か。
残される悲しみを知っているから。
神様、僕もこの仕事が終わったら、転生したいです。
転生してもう一度生きたい。
天国で神様に死んだことを教えられて転生ができると知ったけど、保留して天界政府の事務職から神様見習いになった。
《天界政府に伝えておきましょう。
きっと、アポロン王子に届くはずです。》
これしか言えない。
今の僕はアドリアン皇国第二皇子、アポロン=アドリアンではない。
事務職から叩き上げの神様見習いなのだから。
天国に来てから思ったのは天国もいろいろ大変なんだってこと。
神様について一から勉強しているけど、まだ、難しいパターンの仕事はできない。
天界政府で今はパートタイムで働いているけど、自立とかはまだ、考えられない。
狭いアパートで同僚とルームシェアしてて、毎日がばか騒ぎして。
だから、ごめんね。
お兄様、僕はお兄様にもう一度、人を愛する温もりをあげたいよ。
これが僕の最後の願い。
そして、生まれ変わって、お兄様とセイレーン王女のような大切な人を見つけたい。
だって、前世では恋もしたことがないから、お兄様たちの後押しも大変なんだもの。
だから、お兄様、素直になってセイレーン王女に好きだって言ってあげて。
お兄様とセイレーン王女の再会が天国にいる僕からのプレゼントだから――――。




