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旧:召喚術師の喧嘩殺法  作者: 噛み付き熊さん
異世界来たけど自由時間
7/70

6話 コーラのために、何が出来るか?

召喚されるストーリーでは少し異端なことかもしれませんが

 翌朝、実に清々しい気分で目が覚めた。

 魔力も全回復したようだ――――いや全回復したっていうか魔力の総量的なものをしっかりと把握できるようになっている。

 魔力を扱い続けた結果、魔力を感じる力が向上したらしい。

 ゲームとかみたいにMPとか数値で表すことはできないが視界範囲外へのワープなら一往復程度できるだろう。


 部屋に備え付けの洗面台で顔を洗い、せっかくなので食堂に行ってみる事にした、今思えばこっちに来てから何も食べていない。

 食堂に着くと、全員勢ぞろいして食事をしていた、セルフのバイキングのようだった。


「おはよう、昨日は一日閉じこもりっきりだったみたいだけど、やっと起きてきたのね」


 委員長様が挨拶してきた、どうやら外出していた事はバレてないらしい。


「ああ、おはよう、まあ今日も閉じこもりっぱなしだろうけどな、腹が減ったからちょっと食いに来た」


 カレーライスにとんかつ、焼き鳥、フライドポテトを一つの皿に盛り、席につく。

 というかなんでこんなにあっちの世界の料理があるんだ? 普通異世界って言ったら米とかないんじゃないのか?

 などと不思議がっていると、同席していた巫女さん……名前なんだったっけ?が、説明をしてくれるようだった。


「では皆様揃いましたので、簡単にこの料理について、ご説明いたしますね、あ、食べながらで結構ですよ」


 俺は自分の胃袋を満たすのに専念するため巫女さんの説明を軽く聞き流すことにした。

 掻い摘んで言えば、この国の最初の王様は俺たちと同じ日本人、要するに召喚された勇者だとか、んでそいつは、大変な食いしん坊だったとかで故郷の料理を再現するため、途方もない努力をしたとかなんとか。

 食のためにそこまでできるのは少し尊敬する、俺も住みやすくしていってゆくゆくはこの世界に住み着くつもりでいたんだが、食に関しては問題なさそうだな。

 初代王は冒険者もしていたらしい、その時職業は力士と言ったそうだ、力強き、(ぶじん)であると説明したらしいが、つまりお相撲さんである、だから王様はあんなに逞しかったのか。


 話は終わってなかったが俺は食事を終え食器を片付けて、さっさと自室に戻っていった。

 途中で俺が抜けたのだが巫女さんは、話に夢中なのか気づいてはいなかったが、委員長様方からは凄い睨まれたが、全く聞きたくもない話を強制する必要性はないだろうに。

 部屋に戻った俺はそのままベッドへとダイブ、食後の余韻を寝転がって過ごしていた。


 ……喉が渇いたな、ああ、しかもコーラが飲みたい。


 まだ話してる最中かも知れないが俺は再び、食堂に行ってみることにした、あの食事の再現率なら、コーラもあってもおかしくないだろう。

 食堂に戻ると、巫女さんと委員長様が後片付けをしていた、他の連中の姿はない。

 俺は二人の脇をすり抜け、ドリンクバー――――とは言い難いが蛇口のついた大きな樽の前に来た、字はかけないが文字は読める、俺はコーラ、もしくはコーラ的感じの名前を探した。

 探した、探したのだが、なかった。

 俺は片付けしながら談笑している巫女さん達の元へ駆け寄ると巫女さんに聞いてみることにした。


「コーラってないのか?」


「コーラ、ですか?聞いたことはありますが……ないですね、初代王の武勇伝の中にはそれを作ろうとする話がございますが、結局納得いくものができず断念したのですが……これ先ほどお話したはずでしたが?」


 なんだと……コーラがない、再現できなかっただと――――確かにあれのレシピ的なものは公表されていない。


「コーラの話になる前に部屋に戻ったのよ、あなた」


 委員長がどうでもいい事を教えてくれる、実にどうでもいい、コーラがないという事実しかないのだから。


 俺はそのまま走り出し、自室へ戻った。

 自室に戻ると、俺は自分の財布を制服のポケットから取り出した……こっちの世界では不要なものだったため制服ごと異空間に放置していたのだが。

 財布の中には高校生としてはありえない数の札が入っている、家族が土産を買うようにと渡した金だ。

 こんなに金があるっていうのに、俺は、コーラを買えない。

 財布を握り締めたまま、ベッドへ倒れこむ。


 ――――ああ、元の世界、地元に帰れれば、コンビニに行ければ、コーラが手に入るのに……コーラだけじゃない。

 ガムとかポテトチップス、アイスやらチョコ菓子、邪道らしいが茸も筍も好きだ。

 コンビニにさえ行ければ――――そう願った。


「いらっしゃいませー」


 突然の声にハッとする、俺は何故かコンビニの入口に立っていた。

 辺りを見回す、完璧にコンビニだ、しかもうちの近所の。

 店員が不審そうにこちらを見ている。やばいと、とっさに店内に入り、カゴを手に取り、一直線にコーラの元へ向かった。

 五百ミリリットルのペットボトル――――の間違いなくコーラを俺はカゴに五つ入れた、それからポテトチップスを三袋、

 アイスを、大福のと最中のもの、コーンやカップっと買いすぎたら食べきれす溶かすか、カップアイスを一個だけにし、そしてガムを数種類、カゴに入れレジへ向かう。

 金を払い、レシートと釣り銭を受け取り、店を出る。


 早く部屋に戻って、コーラを飲もう。

 俺は迷うことなく、記憶転移を使って王城の自室へと帰ってきた。

 どっと疲れが押し寄せてくる……が、まだ大丈夫だ、コーラの蓋を開ける、ワープの際に少し揺れたのか、泡があふれてくる、慌てて口へと運ぶと、一口飲む。


「上手い……これだ、これなんだよ」


 ふと、言葉が出た――――涙が流れた、こんなことで泣いてしまうとは情けない話である。

 そして俺は溶けないうちにとアイスに手を付ける――――あの店員、匙を入れ忘れやがったな。

 まあいい、部分召喚で、食堂からスプーンを召喚すればいいんだ、コーラパワーか、中々頭が冴えている。

 俺はスプーンを呼び出し、アイスを食べた。


 アイスは食べ終えた、普通のバニラアイスだったが、それでもやっぱり涙が出るほどの感動があった。

 なんだかんだ言ってホームシックにでもなっていたのか、俺は薄れる意識の中そんなことを考えていた。


 スプーン呼び出して、魔力を使い果たしちまったんだ。

記憶転移で一時帰還!


召喚術師はチートですね。

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