3話 誰も詳しく教えちゃくれない
全員の装備が整った頃、イケメンと委員長様が戻って来た、二人の手には煌びやかな宝石の塊のと神々しい純白の剣を持っていた。
「これが、俺の聖剣! 煌珠・シャイニーだ!」
イケメンが声高に宣言して宝石で過剰装飾された剣を掲げている。
やたらキラキラしていて逆に品性を問われる一品だと思うが委員長を除く女子は惹かれるところがあるのか、食いつきが半端ない。
まあ女子は光り物に弱いと聞くしな、しかしあいつのセンスは理解できんな、あんなの趣味の悪い金持ちが持っていそうだしな。
「そしてこれが私の聖剣、エクスカリバリオンよ」
なんか神々しいけどパチもん臭い名前の剣を持っている、なんか俺を除く男子全員が惚けていた、うわ言のように女神さまとか言ってんぞ。
魅了効果でも持ってんのか……
確かに神々しいし、綺麗っちゃ綺麗だが、それだけのことだ、特に特別ではない。
「それでは皆様装備が整いましたら、王城へと向かいましょう、世界王がお待ちです」
巫女さんも戻ってきて今度は世界王とやらがいるお城へ行くそうだ、世界を統一した王……実際にはその子孫だというが、果たしてどんなやつなのか。
王城は食料庫などを挟んだ神殿の三軒隣に立っていた……割と近かった、
後城っていうからRPGとかに出てくる感じのかと思ったらただの金持ち屋敷程度にしか見えない大きめのお屋敷だった。
まあ周囲の家とか見る限り、建築技術はあまり高くはないようだ。
期待して損した……なんて言っているうちに王様がいる応接間に通された、あっさりしすぎではないか?
もっとこう何かイベントとかあってもいいと思うんだが。
煌びやかな装飾はされているものの流石に王、巫女、護衛の騎士、
俺ら十数人が部屋の中にいるとすごく狭く見えるのだが、ここ本当に城なのか?
全員が着席したのち、世界王バルトマルク三千二百三世が話をし始めた、三千二百って相当続いてるんだなこの王族。
スキンヘッドに金の王冠を乗せ白い髭を蓄えた、マッチョの半裸のオッサン……これが王様らしい。
「ウォッホン! そうじゃな手短に話そう! 諸君らにはここで鍛錬してもらい、にっくき魔族を殲滅してもらいたい! 以上だ」
……短っ、もうちょいなんかあるだろう、経緯とか相手の数とか、特徴とか、脳筋にもほどがあるだろ、世界王。
しかしこれ以上何か語られる様子もなく、巫女さんが呆けている他の連中を先導し、
各自の部屋に案内していく……王城に住むのか、まあ見た目が見た目なのであまり有り難みもないな。
なお、ここにいる間は全て自由時間らしい、鍛錬や食事、風呂などは自由にでき、魔族との決戦の日(未定)まで自由時間と言い渡された、なんともいい加減だそれに対して何も疑問を持たない委員長達もどうかしている、まあ委員長たちは鍛錬場に早々に出かけて行ったが、俺はというと――――
★召喚士魔法
空間転移(視覚範囲内)を使い、屋敷の外に跳んだ、目的は巫女さんから聞いた冒険者ギルドとやらに行くためだ、
そのためにはまず近所の人に道を聞かないとな。
字下げ修正。