2話 それぞれの職業と武具宝物庫
召喚術師――――それは時間と空間を自在に操る時空魔法を極めし者がたどり着く境地、汝、黒田正吾にこの力を授けよう。
そんな感じのがはっきりと聞こえた、俺、召喚術師らしいけどその割には素手で戦うイメージしか見えなかったんだがどうなってんだ、ちくしょう。
それに極めし者のってんならド素人の俺がなれる職業なのか?
他の連中もどうやら自分の職業が分かったらしく一喜一憂しながら次々自分の名前と職業を巫女さんに教えていた。
イケメン清田正義君はどうやら聖剣の使い手、聖剣士らしい……良かったな勇者らしいやつで、なんかあいつ泣いてるぞ。
あいつの正義って名前は伊達や酔狂に近い気がするが。
その横で我らが委員長様、嘉成亜理子が私も一緒だとか言ってらっしゃる、美男美女による勇者ツートップか、まあ打倒だな、でもちょっと嫌そうだな。
そんでその他取り巻き達はといえば――――
保健委員の吉田さん、下の名前は癒香っていうらしい、保健委員らしく治癒術師だそうだ、でも治癒術だけしか使えないのって勇者としてはどうなんだ?
風紀委員の坂本瑠璃は魔法使いであんまり似合ってるとは思わない、本人もそう思っているのか不服そうだ。
飼育委員の桜井縁は獣使い、まあ動物好きの飼育委員には丁度いい役だな、しかしこのうさぎとまで言われる奴に従え切れる獣っていうのはどんなやつなのか。
サッカー部員の長島勇気は狩人とか言っている、弓とかか?
サッカー関係ないじゃん。
ボクシング部の上木友則は、まんま格闘家らしい、でもきっとパンチとかしかできないんだろう、奴はルールに束縛されてるからな。
タイマンで喧嘩すれば奴は俺には勝てないだろう。
生徒会書記の倉井愛護は術師……何術師だよ! これ以上は何も語らなかった、無愛想なやつだ。
案外闇魔法とか人には言いづらい類かも知れない。
そして俺は――――
「え? 俺か? 俺はもちろん格闘家だぞ」
イケメンと委員長が同じのだったんだし、上木と俺が被っていても怪しまれないだろうと、咄嗟に嘘を付いていた、まあ俺が魔法を使うたぐいの職業だと言っても誰も信じないだろうからな。
現に皆納得しように、ああやっぱりとか、言っていた……所詮そういうイメージなんだな俺って。
全員の職業が出揃ったところで、巫女さんが神殿の宝物庫とやらに案内してくれた、なんでも好きな装備を選んでいいとかで。
イケメンと委員長は早々に鎧とかを選んで、聖剣の保管場所とやらに連れて行かれた、残された俺たちは各自で色々と物色している。
俺は、どうしよう……格闘家って言っちまったしな、やっぱそういう格好がいいか?
この宝物庫か勇者になった特典か分からないが、手にした装備の説明は、持った瞬間に自動で頭の中に読み込まれる仕組みになっているらしい。
最初に手に取ったのは疾風の衣……風のように軽く、素早く動けます――――って風のように軽いって重さがないって事か。
実際持ってるのかよくわからない布切れである……そう布切れだ、とても軽いというか持っている感じがしない、けど服じゃない――――と思ったら黒いジャージ(上・下)に変化した、
どうやら装備者の望む形状になるんだとか、まあジャージが動きやすいかなって思っただけだが、勇者がジャージっていうのもどうなんだか。
俺は早速来てみたんだが、なんだがスースーする、まるで服を着ていないかのようだ。
次に武器は、やっぱ篭手かな……魔導の篭手――――魔法を操ることができる篭手……っていうかこれは篭手でいいのか。
見た感じただの黒い革の手袋だぞ、材料は――――悪魔竜の皮か、よくわからんがすごいもんらしい。
手袋とはいえ指先には硬そうな悪魔竜の爪というものでしっかりとガードされているしなそれにしてもここまで黒ずくめか、好きな色は黒だし俺黒田だけど、だからって。
それと靴だな、うちの学校は革靴で、はっきり言って動きづらい。
跳躍の靴とかいうのを見つける、これも手に持った瞬間に黒い運動靴になった。
完全に真っ黒じゃん、それになんだか運動部っぽいな、俺は帰宅部だが。
後はアクセサリー系を適当に見繕う事にする、召喚の指輪シリーズなるものを発見した、雷鼠、天牛、白虎、穴兎、炎龍、水蛟、ニ角馬、
悪夢羊、美猴、不死鳥、三頭犬、山猪。
干支をモデルにしているのか、よく分からないがとりあえず猿と猪はいるがカッパがいないじゃないか、ハブられてんのか?
牛にしたって魔王ハブって――――
しかし召喚の指輪か、欲しいけど俺が召喚術師だとバレる……バレても問題はないとは思うが秘密にしていたほうが後々何かの役に立つだろう、
ここは諦めるしか……
★召喚士魔法
異空間保管術、使用しますか?
なんか出た頭の中にイメージとしてだが、こんな機能もあるのか勇者特典は、便利だな使える魔法を教えてくれるとは、さて早速使ってみるか。
――――結構たくさん入るじゃないか、というか異空間とだけあって入る量は無制限らしい、はっきり言ってチートだな。
お陰で宝物庫にあった召喚系のアイテムを根こそぎ持っていける、他にも物騒な物が大量にあったからな、召喚の指輪・魔王とか。
俺はそれらを異空間に詰めた後、他にも金目になりそうな物をバレない程度に、ありったけ異空間に放り込んだ。
これを転売しとけば、ある程度は金には困らないだろう
字下げしていなかったので修正、ついでに少し変更。
最後の一文を追加