10話 十七番
十七番、と呼ばれた奴隷。
この世界の奴隷とは、そこに至るまでに様々な方法で存在を貶められるらしいのだが、その中でも最初に行われるのは名前の没収らしい。
その後持ち物とか衣服、さらに貞操とかも奪われどんどんと価値を下げてから売るんだとか。
まあそうしないと途方もない金額になるらしいが、この店の店主、レクスはお人好しだとかで、名前しか取らないらしい。
「んで、十七番さんっていくらなんだ?」
「そうですね、身ぐるみ全て合わせると金貨百八十枚ですかね」
百八十枚ね、奴隷の最低金額が金貨二十枚だってさっき聞いたが、九倍か、まあ身ぐるみ込みって言ってたから服でも脱がせば値は下がるか?
「値下げって可能か? 十七番の着ている服とか持っているレイピアとか奪ってさ」
「そうですね――――」
「服と剣を取るというなら売られてやる気はない!」
だ、そうだ……まあ一千枚もあるんだから変えないことはないだろう。
「じゃあ、そのままで買いで」
「よろしいんですか?」
「本人が嫌がってんなら無理に剥ぐのは気が引けるし、何よりギルドメンバーにしたいから、少しでも恩を売っておくことに越したことはないだろう?」
ギルドメンバーが五人必要だ、この世界に知り合いがいない俺がメンバーを集めるには、どうしても奴隷とか買わねばならなかった。
「私をメンバーにか? だが、残念ながら奴隷ではメンバーにはできんぞ?」
俺の野望は早くも頓挫した。
「マジか、じゃあ買わない」
「ま、待て、何もできないわけじゃないぞ!」
だったらさっさと言えばいいのに、勿体付けやがって。
「ああ、ですね奴隷から解放すればメンバーにできますが、奴隷解放代金は一人金貨十枚ですよ」
金貨十枚か……一千枚あるからといって湯水のように使うわけにはいかないしな……
「どうしよっかな、考えもんだ、俺の他にメンバー居ないからここで全員揃えようかと思ったんだが、そんなにかかるんだったらなー」
ここの奴隷は正直高い、身ぐるみごとだからというのもあるが全員女性だ。
女性で純潔を保っているやつばかりだとかで、みんな十七番並みの価格設定なわけだが、仮にここで全部揃えるとなると――――大よそ九百五十枚、さらにギルド費用に二十枚。
三十枚しか残らん、拠点として家も欲しかったんだが、家は少なくとも金貨五十枚枚ぐらい必要だったはずだしな。
「では、こうしましょう、今回は代金は取りません、代わりに、代理販売用の商品をいくつか無償で私に譲っていただけるのであれば、代金はチャラってことで。」
「その手が使えるのか、分かった、じゃあその方向でいい」
まあ全部レクスの手の上で踊らされているようだが、別にこいつにやましいところはほとんど見られない、はっきり言って信用してもいい人間だろう。
レクスにとっても俺は上客であるという前提でだが。
まああれだけの商品を持ち込んで、店側のしたいように事を運ばせてやっているんだから文句はないだろう。
「そんじゃ手続きとかめんどいのは全部そっちでやってくれ、俺、文字とか書けないしな、そんで十七番は決まりとして……後四人さっさと決めていこうか」
そう告げて俺は奴隷の入った檻を物色し始めるのだった。




