強くてニューゲーム6
しばらくの後、湯気の立ったティーセットと仰々しい水晶玉のような装置が応接テーブルに置かれる。
「これはですね、どんな高位スキルのレジストすら回避できる、超特殊な鑑定装置です。これを使わざるを得ないほどの高位情報系スキルとなると、一般人はおろか異世界人でもおいそれと持っている人は居ませんから。ふふふ、起動するのは数十年ぶりですね…」
妙に楽しそうなところが気になるが、今は久々の暖かい飲み物で一息つくことが先決と判断したカナデにとっては詮無いことであった。
「これは‼…【構造理解】だなんて、どこぞの王家が持つという万能スキルじゃないですか!【精密再現】、職人なら一度は憧れるスキルです。はあ、長く生きてきましたが、ついぞお目にかかれなかったスキルです。はあ、ありがたや、ありがたや…」
「えっと…それってそんなにすごいことなんです?」
「はい。特に【構造理解】は相手のスキルや弱点など、殊戦闘においては手の内を丸裸に出来るという点。更に、鑑定スキルや諜報系スキル、気配感知スキルに、それに類する魔法全般のレジスト。これを持っているだけで戦況はひっくり返ると言っても過言ではないです」
「【情報にアクセスできない】って出ることがあるんですけど。意外に万能じゃなかったですよ、これ」
「ほう、そのように表示されるのですね…。しかし…アクセスできない…と。スキル遮断系の防具があれば…かつて貴族の間で流行った奴隷のスキルを強制的に遮断できる首輪というのがありましたが…それの亜種…?」
再びグリムは思考の迷路へと突入し始めてしまった。
(はあ、お茶おいしい。ダメ元で言ってみて正解だったな。ただ…)
ここに来てみたものの、次の行動に関しては完全にノープランであった。前回はノムに拾われ、あれよあれよと言う間に弟子として走り回る日々を送っていたが、今回は先導する人が居ない。
「うーん…ただこのスキルによってゲートが干渉を受けたとは考えづらいですし、ゲートの再調整までまた時間がかかりそうですしね。前回のように1年で済めばいいのですが、なにぶん起動するにも魔術師達は戦争で出払っていますし、勇者召喚以外でゲートを起動するのも渋られますしね…」
「え、もしかして前回も?」
「はい。それはもう我々ギルド総力を挙げて嘆願させていただきましたとも。ただ…」
胸の奥に暖かいものが広がる。が、それも束の間であった。
「ちょっと気にかかるのは貴女の二つ名です。前回の転移から付いていたものと考えると、【革命】を起こすまで元の世界に帰れない可能性があります」
苦しかった…
導入部分を書くのはいつまで経っても慣れないです。
あと、やはり彼の喪失は筆者の中でも大きかったみたいで、ちょっと地の文章が浮かばない時期に差し掛かっております。
駄文、お目汚し申し訳ないです。
何より、カナデちゃんがかなりわがままになって帰ってきてしまったのがね、筆者としては悩みのタネです。元々プロットでも盗んだ魔石で走り出すシーンはあるのですが、よくよく考えてみたら窃盗ですからね。ちょっと展開的に苦しかったです。品行方正暗黒ハムスターと呼ばれる筆者でございますゆえ。
というわけで、暗黒ハムスターはちゃんとスランプを克服できるのでしょうか。温かく見守っていただけますと幸いです。へけへけ。




