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強くてニューゲーム4

土人形たちは今日も作業に勤しむ。

ツルハシを鉱石に打ちつける音が無機質に響き、潮騒と共にハーモニーを奏でる。

カナデは砂浜で大量の魔石とにらめっこしている。

(うーん、これくらいあれば足りるかな。今度こそ起動できるかな。…いでよ!精密再現‼)

虚空にウインドウが表示される。

【条件が達成されました。

作成可能な項目を表示します。

·転移陣

·粉砕魔法

·清浄魔法

…】

(おお、これは来ちゃったかもよ?)

試しに【転移陣】を押してみる。

【詳細条件を指定してください。

·対生物 往復専用

·対生物 転送専用

·対生物 受信専用

対生物 転送専用を選択済み 

座標を指定してください。現在選択可能な座標。

·王都 職人ギルド執務室】

(そっか…見たことがある魔法陣からしか座標を指定できないんだ。でもこれ、構造理解で応用できないかな)

試しに座標を長押しすると、キーボードのような画面が下に追加される。

(おお、全部アラビア数字だ。ってことは、これも場所の名称じゃなくて純粋に座標ってことか…ここが0ってことは、z軸かな。ここ、コンマ以下を弄ってみたらどうなるかな…)

しばらく数値をいじり、決定を押下する。

瞬く間に透明な光の魔法陣が地面に浮かび上がる。しかし、ここでふと思いとどまる。

ゴツゴツとした岩場に描かれた魔法陣は線が歪んでおり、誤作動を引き起こすのは目に見えている。

(あと、平らな床と言ったら…あ)

カナデは黒黒と聳える城を見上げる。


「…なんで戻ってきちゃうかな」

わざとらしくため息をつくランクス。お構い無しに【精密再現】を起動し、仮の魔法陣を表示させる。要所要所に魔力供給用の魔石の欠片を配置していくのを忘れない。

「仕方ないでしょ、ここしか平らな所思いつかなかったし」

城の中の食糧庫。

「しかもガメた魔石も増えてるし。僕一応カナデさんのことも尊敬してたんだよ?あんまり落ちぶれた所は見たくなかったよ」

「落ちぶれ?逆に考えてほしいんだけどランクスくん、私、前回の異世界転移も今回の時空跳躍も、全部実害被ってるのね。この国は私に慰謝料を払うべきだと思うの。正直、もっとふんだくったってバチは当たらないと思ってる」

静かだが、内に秘めた怒りは噴火しかけのマグマのようであった。黙々と作業を続けるカナデの後ろ姿を、ただただ見つめるに徹することに決めた。

(それにしても、想像以上にスキルがチートすぎる。これ、異世界来て真っ先に手に入れちゃったら「オレつえEEEE」から天狗になっちゃうの、なんとなく分かるわ。さて…)

魔法陣が七色の光を帯び、魔法陣が正常に起動していることを示すかのようにフヨフヨと精霊たちが集まり始める。

(自力で一から魔法陣を完成させたのは初めてだけど、これは…うん、精霊たちが元気に動いてるから大丈夫そうね)

「じゃ、ランクスくん、私はこれで」

「え、気軽に言わないでよ。本当に大丈夫なの?それ。転移陣として成功はしてるっぽいけど、座標はアテにならないよ」

「石の中に居る…にもなりかねないけど…ま、なんとかなるでしょ。じゃ」

ランクスの戸惑いを他所に、光と共にカナデの姿は掻き消えていった。転移陣はご丁寧に1回限りの使い捨てになっており、使用後すぐ消える構文が施されていた。

「…無敵の人、になってしまったんだな」

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