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強くてニューゲーム3

「君たち、何やってるの?」

静かな声だがそれは怒気を含み、はっきりと遠くまで聞こえる。先程の布だった人型の物体が声を発している。

「御子息様、お目覚めでございますか。実は今ここに侵入者が…」

「そんなことはどうでもいい。僕が貯めていた魔素も【粒子】も半分以下に減っている。しかも封印に緊急の術式を使っただろ。体が動かないな」

「も、ももも申し訳ございません」

全員防護服で見分けはつかないが、室長と呼ばれた中年男性の態度が急変する。

「まあ、誰一人欠けてないなら、それに越したことはないけど」

儚げな笑みを浮かべる包帯の塊だったもの。その声から怒気が一切抜けている。

「御子息様…いえ、ランクス様、お心遣い痛み入ります」

「うん。皆さん、本当に苦労をかけた。父に一部始終は見られてると思う。というか、それまで持ち出したってことは…そういうことなんだろうな」

光魔石の結晶棒を指して言う。

「そうですね、良くて減俸、悪ければ死罪…ですかね」

「不慮の事故だ。しかも処置は適切だった。そう判断したから、父はここには来てないんだろう。死罪はないと思う。安心して」

「ランクス様…」

室長の声に湿度が混じる。

「まあ…。僕の意思が働いてる内に、皆早く出たほうがいいよ。そろそろリモート接続に変わりそうだから」

「承知しました。みんな、行くぞ」

一団がランクスに気を取られている間に開いた扉の後ろに隠れていたカナデは、遠のいていく一団の足音を聞いてからそっと部屋を覗く。

「で、カナデさんはここで何をやってるの?」

唐突に声をかけられ肩が震える。

「…か、かか、カナデって誰かなー」

「何を言ってるんだか。城の保存食ならまだしも、防護マスクまで拝借するのは流石にやりすぎなんじゃない?ま、賞味期限2年ぐらい過ぎてたし、誰も気に留めないでしょ」

「……(何かを吐き出そうと必死な音)」

ランクスは頭を振る。

「冗談だよ。…聞いてたろうけど、今の僕には監視がついてるし、いつリモート操縦されるか分からないから」

「リモート操縦って…人間だよね?」

「そう見える?」

「見えない」

「カナデさんは相変わらず素直だね」

ランクスの大人びた笑顔に胸がざわつく。

「でも、逃げるって言われてもどうしたら…」

ランクスは思い出した。久々の再会時、カナデは不慮の転送事故により過去から飛ばされたと言っていた。突飛すぎる話に事実だと思えないまま放置してしまったことを悔やむ。

「うーん…転送陣は確かにあるけど、王城に直に飛ぶから室長たちと鉢合わせする率も高いね。第一魔力が…」

「ランクスくん、私を誰だと思ってるの?」

「魔力が少ない異世界人」

「そうだけど…ノムさんの弟子だよ?魔力がなければ…」

ポケットからじゃらじゃらと取り出す。

「え、まさか盗んだの?魔石」

「みんなにはナイショだよ?」

「ねえ、職人からシーフにジョブチェンジしたほうが良くない?」

呆れたというように目を細めてみるが、口元はついニヤけてしまう。

「父にはゴーレムに監視プログラムも追加するように言っておかないとね。導入までにはちょっと時間がかかりそうだけど」

※改稿しました。最近改稿の範囲が広いですね、すみません。2025.11.21

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