魔王復活
「おや、お待ちしておりましたよ、ブラムさん」
セーフハウスの目の前に立っていたのは、商人ギルドのマスター、レクターであった。殆ど面識はないが、何かの折にサーシャが紹介してくれたのを思い出し、慌てて変化を解くブラム。
「ギルドマスター、何故このような所に。というより、何故コウモリが我だと…」
「とある情報筋から、あなたの種族について聞き及んでましたし、何よりコウモリにしては飛び方に違和感がありましたもので」
「なるほど…」
「ささ、皆様お待ちですよ」
どこまでもにこやかな表情。
(そうか、レクターさんも色々と手伝ってくれたんだな)
ドアを開けると、迎え入れてくれるはずの人物が全員倒れ伏している。甲冑姿の男たちも少なからず傷を負っている。
「おかえり。おじちゃん」
甲高い声を出すのはベルナルディ。膝に昏倒したエクレを乗せている。
「…‼」
頭に一気に血が上り、目の前が揺れたように感じる。
「はは!ぼくがあそこでずっと待ってると思ってた?ちゃんと情報筋から場所は聞いているんだ…。…‼?」
ブラムの下半身を見る。
「ねえ、君なんで裸なの?ちょっと不敬すぎない?」
やたらと動揺している。顔と下半身を交互に見つめる。
「……」
ブラムは無言で念動力を使う。甲冑姿の男たちの傷口からはおびただしい血が流れ、そのすべてがブラムの口へと注ぎ込まれる。
「へえ、そうやって吸うんだ」
干からびるまで血を吸えば、今度は無詠唱での氷の斬撃をベルナルディに浴びせる。
「水分子の結合か。ほれ」
氷の刃はベルナルディに届くまでに水へと変わる。
「今まで格上と戦ったことがないようだから教えてあげるけど、分子魔法ってね、こう使うんだよ」
ベルナルディが大仰に指を鳴らす。ブラムの体の周りにシャボン玉のような皮膜が張られ、中の酸素を全て皮膜の外へと追い出す。
「…がっ…息…が…」
「分子を移動できるんだから、これくらいは造作もないよね。おいで、ランクス」
包帯の塊が蠢きながら近づいてくる。
「や…め…」
「さあ、【枯死之王】。このランクスは魔素をいっぱい溜め込んでいるんだそうだ。彼の中で眠っていると自動的に魔王になれるって仕組みなんだって。すごいよね」
「…こ…し…?おれ…が…?」
(勝利を確信して囀ってやがる。持てよ、俺の意識…)
気付かれないように後ろを覆う膜に氷刃攻撃を仕掛ける。膜が小さな音を立てて凍る感覚。
(あともう一発。もう一発…)
頭が働かない。視界が暗くなる。
プチン―‼
皮膜が破けた。一気に酸素が血液に巡る。
「…くっは‼させるかよ‼」
「はは!王様になる男だもんね。そうこなくっちゃ‼」
ベルナルディが瞳に危ない輝きを放つ。
その傍らでランクスだった布の塊は止まる気配すらなく、猛烈な勢いでブラムに巻き付き始める。
「おい‼水を差すなよ!これはぼくとブラムの…」
「うるさいですよ、王様」
後ろにはレクター。
「くそ、ギルマス、これはどういう…」
身動きが完全に取れない。ブラムの耳元でそっと囁くレクター。口が塞がれ、目が塞がれ―
「あなたは観察対象1582号から、被検体463号へと生まれ変わります。良かったですね」
その日、吸血鬼ブラムは、この世界から消えた。
…。
はい。おじちゃん退場です。
展開としては数年前から書きたかったシーンなので筆者は満足ですが、正直…ねえ…
書きたくなかったです(どーん)。
結構引き伸ばしました。彼の苦しむ様を見たくなかったからです。
ホントはキャシーちゃんの双丘の谷間にインしようとも思ったんです。最後だからね。
でも理性が勝っちゃったんだこんちくしょう。
全年齢対象なんだよう。
と、言うわけで、作者が描写を拒否ってしまったため分かりづらさは否めません。叫びすぎですしね。ごめんなさい。そのうち修正します。
さて、カナデさんがそろそろ戻ってきます。妖怪ウ◯ッチで言う所のイ◯ホ的ポジから、ケイ◯くんポジになる予定ですので、よろしくご査収のほどを。
というわけで、また次のピリオドでお会いしましょう。




