永久の苗木6
「このような所ではおやめください、陛下」
宰相からの威圧感は更に増す。
「大丈夫だよ。そっちの彼の攻撃はどうだか知らないけど、少なくともぼくならこの建物に一つも傷をつけることなく終わらせられる」
「そうではなく、ここは他国の施設です。そしてこの者は他国の民です。我々の事情でいきなり暴力行為に出るなど、外交問題ですぞ」
「そういうものなのかい?」
「そういうものです」
「ふう、仕方ないね」
威圧感が一気に消えた。ベルナルディは再び1人掛けのソファーに腰を下ろす。
(助かった…のか?)
「今日はビオーリに免じて帰してあげる。でも次にぼくの目の前に現れたら…」
「陛下!外交問題‼」
「…わかっている。そこまで気にするなら、君が穏便に片付けといてよ」
「な!また丸投げですか陛下!」
ベルナルディは欠伸をしながら応接間を後にした。
(残されたのはおじさん2人…か…)
主君が去ったのを確認し、宰相は今まで王が座っていたソファーへと座る。体格はどこまでもこぢんまりとしているが、その目には一切のハイライトがなく、厳粛さを滲ませている。
「見知らぬ異国の者よ、陛下の非礼、何卒ご容赦いただきたく…」
先に動き出したのは宰相だ。スッと頭を下げる。頭頂部にちらりと覗く頭皮が哀愁を漂わせている。
「とんでもない、宰相殿。お顔を上げてください」
「はあ…なにぶん陛下は魔術のことばかり、神樹様のことばかりで生まれてこの方生きて参りました。世間知らずにも程があるのです」
職人エルフの顔が浮かぶ。
「ですが、【永久の苗木】は我々フラクタル王国民にとっては陛下より大切な物なのです」
「王様よりも…ですか?」
「はい。神樹様は我々の信仰の対象。神樹様に仕えし代々国王は、皆人類の領域を超えた力を授かるのです」
「そうして力強い王に力を与えた神樹は更に信仰心を集める…と」
「その通りでございます。そして神樹様の権化こそ【永久の苗木】…しかしどのようなお姿で顕現されるか、文献にも書かれてはおりません」
(エクレがそんな大層な存在だったとはな…)
「王の思い違いで済めばそれに越したことはございません。一度、我々がまだこの国に滞在している間に、あなたの所にいらっしゃるという【木を操るお方】とお会いする機会を賜りたく。どうか、このとおりです」
再度深々と頭を下げる宰相。
「しかし宰相殿、もしも人違いであれば『虚偽申告と不敬罪で処刑だ‼』などとなりませんか?」
「我々がお願いしたことにそのようなことを言うつもりは毛頭ございません。万が一王がそのような難癖をつけた場合、我が身命を賭してでも貴方様とお連れ様をお守りいたします」
「お心遣い痛み入ります。逆に、王の求める者であった場合はどのようにお考えでしょう」
(正直、そっちの方が困るんだけどな、こっちとしては)
「そのときはこちら側にお引渡しいただけるよう、全力で交渉させていただければと」
「まずは本人に確認させてください。話はそれからです」
「そうですね。失礼、名乗るのが遅れましたな。宰相のビオーリと申します」
「ブラムと申します。王様の仰っていた通り吸血鬼です」
「お会いできて光栄です。吸血鬼の方は初めてですが、どこか親近感が湧きますな。どうぞ今後ともよしなに」
にこやかに握手を交わす。苦労人同盟誕生の瞬間であった。
上げてからの修正が多く、不徳の致す所でございます。
最初は魔力の波長で探し当てる…的な展開にしたのですが、それじゃ話にならないので大幅に変えました。◯起シーンも泣く泣くカット。チン◯ジウムと言いたいがためだけに講演開かせました。ごめんね、王様。
書き溜めて推敲して出すのが当たり前かと思いますが、三日坊主拗らせ民ゆえ、また貯蔵したどんぐりの場所を忘れて森を作りそうなので、もよおしたら出す生活をしばらく続けたいと思います。
さて、出したいキャラは全部出揃いました。
ベルナルディ、ビオーリはランクスと同じお話しの人たちです。特に王様は、オ◯ロの鮮血帝に出会わなければただの幼子設定のままでした。布面積が狭くなったのは最近流行りの歌手の影響が強いです。流石に乳首にシールは貼ってません(オタクの早口)。
さて、中盤戦も終わりに近づいております。
プロット版で辿り着けなかったシーンに差し掛かって参りました。
出したかった伏線も青髪くんが回収してくれましたし、思い残すことはございません。
それではまた、次のピリオドでお会いしましょう。




