永久の苗木5
「お、おお‼??おおお…おうせでは…ない…」
「ほう、それは尚のことすまない。何分若輩者ゆえ、男女の機微には疎くてな。失礼した」
「いえいえ、そんな…」
(見えそうで見えない乳首…出そうででなさそうな…ハッ)
ブラムは咄嗟に傅く。ノムは既に半歩後ろで跪いていた。
「これはこれは陛下。先程の講演、大変素晴らしく…」
「世辞はいらん。ただ、そなたらほど熱心に僕の話を聴いてた者は居なかったからね。研究者かな?」
(映像で…こちら側も監視されていた?)
「いいえ、私はしがない商人兼冒険者。後ろに控えている者は研究者にして魔道具作製に於いてはこの街随一と呼ばれる者です」
ちらりと後ろを伺うと、顔を真っ赤にして震えるノムの姿。ただでさえ小さい身体がさらに小さくなる。
(俺を前に出しやがったからな。せいぜい苦しめ)
「ほう。噂はかねがね。早速店も拝見した。して…」
ベルナルディはスッとノムに近づくと耳元で何かを話す。
「!?何の話…です?」
「ふむ、商品からは確かにそなたの魔力の波長があったが、アレはそなたの作ではない…と…」
「商人ギルドのマスターなら、何か知っているかもです。私はただ、知り合いから預かっているだけです」
「そうか。して、そこの者」
矛先はブラムに向かう。
「少し内密な話がある。ご同行願おう」
迎賓館の絨毯は足が沈む程に毛足が長く、踏みしめる度に居たたまれなさが去来する。通された応接室のような部屋も調度品が並び、指紋のひとつも付かない程に手入れが為されている。
(壁から魔力を感じるな…ノムが居れば不可視化構文を使ったなんとかでってすぐ分かりそうだが)
「呼んでおいて待たせるなど無礼なことをしたな。すまない」
宰相以外の共連れもなく、ベルナルディが入室した。
(…‼息が詰まる…なんて威圧感と桁違いの魔力だ…)
「吸血鬼殿は何か飲まれるか?血は用意できないが、ワインならあるぞ」
「いいえ、斯様なお心遣い、痛み入ります。ご無礼は重々かと存じますが、陛下との重要な話に於いて酒など…」
「うむ、いい心がけだ。まあ、椅子に座れ」
(吸血鬼と知っている?鑑定魔法?一体俺が何をしたと言うんだ)
王は鷹揚に座る。組んだ足の付け根からまろび出るものがないかヒヤヒヤとする服装だが、影になっていてうかがい知ることはできない。
「さて、単刀直入に聞こう。【永久の苗木】はどこだ?」
(…何を聞かれているんだ、俺は)
「ああ、質問を変えよう。ここ最近…いや、今日だな…木を操る能力を持つお方と、一緒に居たのではないか?」
「申し訳ございません。全く心当たりが…」
(エクレのことを言っている?何故俺といるとバレている?)
「そのお方が寝ている時にだけ、そのお方を守るために咲く花がある。その香りはどんなに嗅覚のいい吸血鬼でも嗅ぐことはできないが、ぼくたち、神樹を敬う民であれば…」
スッと立ち上がるとローテーブル越しに身を乗り出すベルナルディ。ブラムの首筋に唇が触れんばかりに近づく。鼻息が当たってこそばゆい。
「ふふ、ちゃんと匂いがするじゃないか。君は随分と好かれているようだね。妬いちゃうよ」
「陛下。初対面相手にそのように近づくのはおやめください」
「ビオーリ、君も相当なヤキモチ焼きだね」
「陛下」
威圧感が更に膨れ上がる。
(この威圧感と魔力、こっちの宰相の方だったか。逆に王は…無臭?魔力も感じない?)
「不思議そうな顔をしてるね。君にぼくを知ることはできないよ、何一つとして…ね」
絶世の美貌に浮かぶ冷笑。
「さて、君があの方の場所を教えてくれなければ、このまま力付くで聞くつもりだったけど…どうする?【氷樹の王】」
※改稿履歴1.
かなりキツイ下ネタ表現と展開が繋げなくなった為、後半部分を完全に修正しております。ご了承ください。




