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永久の苗木4

「古代無属性魔術と化学は実に相性がいい。異世界人がもたらした化学知識は、魔法が使えないことを前提とした社会に於いて最も発展した分野であり、幼少の頃から化学に興味を持たせるようエンターテイメント化されているとも言う。とある異世界人からの受け売りだがな…」

フラクタル王国の王、ベルナルディが壇上て滔々と語る。

(若くして凄まじい知識量、度胸、分かりやすく話す技術…本物の、生まれながらにしての王とはかくあるものなのか)

ブラムは後ろの方で講演を聞いている。

木を操作する魔法を使う一団がフラクタル王国の使節団であると判明して数分後、未知の魔術への興味から吸い寄せられるように迎賓館前の広場で行われるシンポジウムのライブビューイングに参加していた。

(遠隔地の音や光をほぼノータイムで送信、形造る技術か…カナデさんはとんでもない所から来ていたんだな。しかし…)

大半の聴衆は講演内容より、王の美貌に酔いしれていた。

(布面積が少なすぎるだろ。いつポロリしてもおかしくないぞ、乳首とか…下とか…)

中性的な顔立ちと肉付きのため、下からまろび出るものがそもそもあるのかどうかも判別できない。男性も女性も関係なく、その美しい肢体に釘付けになる。一部の例外を除いて…。

「ブラムさん、こういう場に居るのは珍しいです」

「ノムこそ…」

後ろの方で観覧していた2人は、どこか気恥ずかしさを覚える。

「古代魔術のシンポジウムがあると聞いて来たです。知見が広がるですよ。創作意欲が湧き上がってウズウズするです」

「我は木を操る一団が居ると聞いて興味本位でな。しかしこれは…たまらない」

「です」

2人は他の聴衆の雰囲気に飲まれながらも、いつしかお互いの体が触れても気付かないほどに講演に聴き入っていた。


「来てよかったですー」

「聞き応えがあったな。あそこまで未知の知識を噛み砕いて話せるとは」

「確かにです。基礎ができて初めての応用ですが、基礎すらできていなければ飛躍もできないです」

「その通りだな。実感させられるな」

「無属性魔法、分子魔法…ただでさえ奥が深いのに更に深淵があったです」

「うむ。しかしあの映像…とやらが何よりも凄かったな」

「それです。あれはとんでもない技術です。軍事、教育、思想的洗脳…何にでも使える恐ろしい技術です。魔法大国と名乗ってるこの国のチンケさに恥ずかしさすら覚えたです」

「あまり往来で言うな。怒られるぞ」

「しまったです」

2人は興奮冷めやらぬまま、大通りの広場で話し込んでいた。昼間は青空市が開かれ賑わう場所だが、夜になれば大抵の者が通り過ぎる。

「結構遅くなってしまったのではないか?夕飯を馳走しよう」

「それには及ばないです。ちゃんと仕込んでから来たです。家で1人で食べるです」

「そうか」

「…1人…です」

(誘ってるのか?ただ寂しいだけなのか?ハッキリしてくれ!女性経験皆無に…なんかこう…思考がまとまらん!)

「どうしたです?」

「いや、その…女性とここまでちゃんと会話ができるというのは、自分でも信じられなくてだな…その…」

「作りすぎちゃったですから、家で一緒に食べるです?」

「が…‼‼」

(なんだこの胸の痛みは‼DTにはダメージがエグすぎる…衛生兵!衛生兵ぃぃぃ‼ああ、なんか妙にノムさんが…可愛く…)

「失礼、そこの御仁」

急に声をかけられ飛び上がる。

少し距離を置いた所に、軍服を着た一団と薄着がすぎる若者が立っていた。

「逢瀬を邪魔してすまんな。少しよろしいか」


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