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ゴブリンの王5

翌日―。

ブラムがいつものように棺桶から出ると、気配察知に引っかかるものがある。

(セーフハウスだし、迷い込んだ人でも居るのかな。とりあえず様子を見に行こう)

地下を一通り回っても人は居ない。一階の食堂も寝室も誰も居ない。

(トイレは…うん、気配はないな)

すると

「オ目覚メカ、王ヨ」

「ぎゃあああああ‼」

思わず叫び声を上げる。上からニョッキリと顔を出すゴブリンが一匹。

「王、戸締マリシナイ。無用心。家、空ケガチ、心配。りーだーカラ、家守レ、言ワレタ」

「そ、そそそそうか。ありがとうな」

「驚カセテスマナイ。反省」

「大丈夫だ。あと、この家はセーフハウスだから、鍵は開けっ放しでいい」

「せーふはうす…王、住ンデル」

「管理人だからな」

「管理人…」

納得したようにゴブリンは屋根裏に引っ込んでいった。

(まあ、嘘は言ってないよな。自費で修理したわけだし。うん。しかしこれでは自家発電も容易じゃないな…うう…)


施設につくと珍しくエクレがブラムから離れなかった。

「どうした?」

「みんな赤ちゃんばっか見る。髪の毛むしられた。赤ちゃんキライ。おじちゃん抱っこして」

(赤ちゃんがえりか…わかるぞ、お前の先輩はみんな通ってきた道だ。特にそこのお前)

ブラムの視線の先にはトーマス。当人はブラムの視線に気づいていない。

「痛かったなー、よしよし。お、ちょっと重くなったか?」

「レディに体重のこと言う、おじちゃんセクハラ」

「…どこでそんな言葉覚えた?」

最初に会った頃はたどたどしかった言葉も随分と明瞭になってきている。

(まあ、ゴブリンに育てられてたらそうなるか)

「なあ、聞いていいか分からないが、ゴブリンの言葉は分かるか?」

「わかるししゃべれるよー」

「じゃあ、今度うちに住んでるゴブリンとお話するか?」

「するー。ゴブリン、いい人多いよ」

「確かに。気のいい連中だ」

周囲の子どもたちからの視線が急に刺さる。

「え…ブラムさん…ゴブリンと住んでるの?」

「いや、でもブラムさんなら…うん」

(ねえ、それどういう意味?)


ようやく子どもたちから解放され、花街を歩く。何度か嗅いだことのある匂いを辿り、いつもの客引きが居る店の前まで行く。

(ついに、来てしまったな。いや、アレを捨てに来たわけじゃない。ちょっと人探しするだけ…)

目の前を通り過ぎる匂い。

(やはり…か…)

「失礼。どこかでお見かけしなかったかな?」

「あら、今日こそ遊んでく…」

女の顔が青ざめる。女の方も確信を得たような顔をしている。声を急に落とす。

「ブラムさん、ですよね。昨日といい青髪の件といい、一体何してるんですか」

「ミ…」

「キャシー」

「あ…ゴホン…キャシー殿も、お元気そうで何よりだ。うむ、失礼しよう」

マントの裾を踏まれる。首が締まる。

「アナタ、とんだドぐされヘタレDTね。ここまで来たんならいい加減金落として来なさいよ」

「ほう、とんだ拝金主義者様だな。…大丈夫なのか、兼業とか…」

「あっちもこっちも自由業なの。仕事に支障を来さず、どちらもプロフェッショナルで居られれば関係ないわよ」

「サ…的なあれも…」

「アナタも似たようなもんでしょ。冷やかしなら帰ってちょうだい」

ようやく足をどけると反動でつんのめる。

「キャシー、ご指名入ったわよー」

「はーい、今行きまーす」

尻をこれでもかと振りながら、キャシーは店内へと消えて行った。

(…女ってやっぱ…こわい…)

ミランダが拝金主義なのはプロットから決まっておりました。サがつく種族を最初の方に出した際、「あ…これイケるんじゃね?」と悪魔合体。

手抜きじゃないよ?うわ、やめろ、そんな目でこっちを見るなわーん(深夜テンション)

今回シリアスめな話が多い為、いつもより振れ幅大きめでお送りしました。

ベルには幸せになってほしかった。いずれ幸せな世界線でスピンオフを描きたいものです。クラ◯ド的な。条件揃うと死なない世界線に突入する的な(世代がバレる)。

ちなみに、ユキさんの謎方言は厳格な関西弁ではございません。間違っても真似しないようにお願いします。

ではでは、また次のピリオドでお会いしましょう。

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