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ゴブリンの王3

(流石に冒険者たちには面が割れてるからな。万が一に備えて変装せねば)

ブラムが取り出したのはエクレの変色パンツの余り生地と【パワードふんどし】であった。

(変色パンツの陣の構文は…色調の構文をこう弄って…ふんどしにくっつけて…お、悪くないんじゃないか?これ)

ふんどしを身につけるとモリモリと筋肉が隆起し、肌色は緑へと変貌し始めた。

(おお!憧れのシックスパックがなんとお手軽に!しかもあのお値段で‼これは流行るな。わかるよ…)

あとは適当にシーツを引き裂いて顔や体に巻き付け、キングが身につけていたアクセサリーを身につける。

(鏡に映らない体だからな…どう見えているか不安はあるが…行くか)

「待たせたな、皆の者」

威厳たっぷりに見えるよう、ゆっくりとドアを開ける。

(決して半裸が恥ずかしいわけでは…恥ずかしいわけでは…‼)

「オオ、ナント雄々シキ我ラが王ヨ‼」

「見違エタ。美シイ。伝説ノごぶりん王モ、霞ム…」

歓喜の声が広がる。

(殆ど何言ってるか分からないけど、まあ、好評みたいで良かった)


水源の周囲にはゴブリンの亡骸が散乱しており、冒険者たちは討伐の証拠として決まった方の耳を切り落としては革袋に詰めていく。

物陰に潜むゴブリンたちはその光景に憤りを覚えたが、王の悠然とした態度に応えたいと必死に冷静さを取り戻そうとしていた。

「この数をお前たちが相手にするのは辛かったろう。よく耐えた」

「優シキ王。モシヤ…」

「いや、少し驚かすだけだ。ちょっとそこの3人、肩車はできるかな?」

「?デキルゾ?」

「よし、ではこれを被り給え。誘導はこちらでしよう。ついてこい」

ブラムは気恥ずかしさを捨て、肩車3人衆を引き連れ茂みから出てくる。

「我の領内で何をしている。この不届き者どもめ」

「ひぃ‼なんだ驚かせやがって、ただのガタイのいいゴブリンじゃないか」

冒険者に囲まれる。何度かキルドでも顔を見たことのある初級冒険者たちだ。

(声でバレそうなもんだけど、案外バレないもんだな。普段しゃべらないからな。しかし普通なら昼間に活動するはず。なんで夜中に…)

「ふん。ただのゴブリン…ねえ」

ブラムが合図を出すと肩車3人衆がフラフラしながら登場する。

「うわ…なんだこいつは」

「ぶ、ぶぶぶ、ブラッディベアじゃないか?」

肩車3人衆が被っているのはブラムが以前に狩っていたブラッディベアの皮である。3人衆は足元が覚束ず今にも倒れそうだ。

「俺ならコイツを…」

倒れそうな気配を感じ殴るフリをする。タイミングよく3人は倒れる。倒れる際に一斉に発した叫びは熊の断末魔のようにも聞こえる。

「拳一発だ。お分かりかな?」

「ひ…ひぃぃぃ‼」

冒険者たちは顔を真っ青に染め上げ散り散りに逃げていった。

「ふ、他愛のない…」

「サ…サスガデス、王ヨ」

「コンナ手ガ…アッタダナンテ…」

「人の気配は…ないな。水源に向かうぞ」

ゴブリンたちは肩車ゴブリンたちとハイタッチしている。

(今回のMVPは間違いなく肩車ゴブリンたちだな。主演男優賞だ。素晴らしい演技だった)

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