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氷樹の王4

「カンパーイ」

「お疲れ様ー」

その後の経過観察も順調に進んだため、一旦完成記念も兼ねて慰労会をすることとなった。

ノムは飲むより食べる方、カナデはエールの髭ができている、エクレは当然果実水だが…

「ブラムさん、飲まないんですか?」

「ああ。前に…ちょっとな」

カナデが美味しそうに杯を空ける姿を見て身震いする。彼が口にした酒はエールより遥かに度数が高い蒸留酒であったのだが、あの一回だけで【酒=死にかける】という図式ができてしまったブラムからすれば、カナデのそれは信じられない光景であった。

(それにしても、血以外の物をちゃんと飲むのっていつぶりだろうな。甘い。美味しい。固形物も久し振りに食べるから胃が受け付けないかと思ったけど…はあ、美味し…これからはケチらないでちゃんとしたもの食べよう。ふふ、誰かとの食事ってこんなに楽しいんだな)

「緊急招集‼緊急招集‼冒険者ギルドの皆様は直ちにギルド庁舎へお集まりください‼繰り返します…‼」

屋外から突如緊急放送が流れる。飲み下そうとした肉片が引っかかってむせそうになるのをぐっと堪える。

(空気読めよ!はあ…残すのもったいないな…)

「うむ…今日はこれでお開きだな。呼んでくれてありがとう」

ブラムはスッと立ち上がる。

「おじちゃん、おしごとがんばって」

隣のエクレは力こぶのポーズをしている。

「ああ。すぐ片付けてくる」

「ブラムさん、冒険者なんですか?」

「ああ。駆け出しだがね」

妙齢の女性に心配されるとむず痒くなってしまう。しかも相手は芳しい花の香がする。

(明日になれば今生の別れになる異世界人…か)

大仰にマントを翻し店を後にする。胸の奥がチリッと痛む。


「……を魔物の群れが占拠している状況です。殆どが小型の犬型魔獣ですので、一体一体はさほど危険ではありません。ただ、今も続々と外壁を飛び越えているという情報があり、外壁上部の不可視化防護結界が複数箇所損傷している模様」

街の地図の前でリリーとギルベルトが拡声器を片手に説明を始めている。

「防護結界の陣は外壁に等間隔で埋め込まれている。職人ギルドにもこれから要請を出すが、結界魔法の陣の知識がある者は率先して手を挙げてほしい。魔力を早急にこめる必要もある。魔力量に自信のある者、また魔力要員を防御する人員も必要だ。我こそはと思う者はリリーくんの方へ。腕に自信がない者は一致団結して各個撃破に臨んでほしい」

ブラムはそそくさとギルベルト側に行こうとしたが、首根っこを掴まれてリリー側に引きづられていく。

「ちょっ、おまっ、何をする…‼」

「あなたは完全にこちら側です。むしろこちら側の主力です。というか軽っ‼」

声の主はアマリリスであった。現役大工の膂力を遥かに凌駕している。

(うう、短期間で2度もヒョロガリと言われてしまった…。絶対パンプアップしてやる…‼)

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