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さようなら春の日7

カナデの旅路は何事も無く過ぎていく。

レイザンに行くときは馬車をチャーターしたが、それは王都職人ギルドからの粋な計らいだっただけで、実際には庶民に手が出ない金額であると商人ギルドから聞く。

結果、定期の乗合馬車に乗り込むことになった。馬車は先日の魔物の襲撃を受け街から脱出する人で全便満席になっていた。とは言え、一つの馬車に載せられる人員は荷台式でも10名程度のため、脚力に自信があり着の身着のまま逃げる人は徒歩で街道を行く。

途中宿場町で一泊し、翌日の夕方には王都門前に到着した。

(うう、お尻が痛い。体がゴリゴリだ…)

グッと伸びをする。

(お土産とか色々買いたかったけど、持って帰れるかわからないしな)

ノムは今回はついて来なかった。その代わり、何かあった時に連絡が取れるよう、書類用の転送魔法陣の巻物を渡されている。魔力は充分に充填してあるので、3回くらいは使えるとのことだった。

入門待機列に並ぶこと数時間、王都の門をくぐる頃には宿も食堂も軒並み閉まっていた。

当然、ギルドの庁舎も閉まっている。

(最低、また野宿じゃん…)

この世界に来たばかりの頃を思い出した。

召喚され、追放され、言葉も分からず、失意から石畳の上でひたすらに寝そべっていた時のこと。ノムが差し出した果実水の味―。

(私、本当に帰りたいと思ってるのかな)

日本に帰っても自分は死んだことになってやしないか。居場所はあるのだろうか。

(不便で、怖いことだらけで、野蛮な人も多かったけど…楽しかったよな…)

路上でうずくまっている内に、空が白み始めていた。数時間は寝ていたようだ。


「ご無沙汰をしております、カナデさん!報告はノムから適時いただいてました。本当にお疲れ様でした」

腕を広げ、耳をピコピコとさせながら王城に招き入れたのは王都の職人ギルドマスター、グリムである。

ゲートは王城に設置されており、カナデが面識がある王都の者は殆ど居ないための緊急措置であると、道すがら話をされた。

「ゲートの点検と元の世界の座標を逆算するのに時間を要しましてね。お待たせいたしまして申し訳ありません」

「そんな…まさか戻れるとは思っても見ませんでしたし…」

「時間の流れる速度等は算出できておりませんので、可能性としては転移して数日後の時間軸に戻れるかもしれませんし、数百年後の可能性もあります。そこは予めご留意いただければと」

巨人でも通れそうな程の大きい扉を開ける。

中には10人程のローブ姿の者たちと、複雑な構文が画かれ、ぽっかりと口を開けた巨大なMRIの入り口のような装置。

グリムもローブ姿の輪に入ると詠唱を開始した。七色に輝く空間が装置内で展開されていく。

「ゲートを開門しました。持って1分です。名残惜しいですが、さあ、早く」

急かされるままに、カナデはゲートへと飛び込んだ―。


条件をクリア。設定を解放します。

二つ名【革命】。

隠しステータス【観測者】を追加。

【世界図書館】へのアクセス権限付与。

加護【なし】。変更なし。

スキル【構造理解】【精密再現】をインストール。

設定を完了する場合は【OK】を押してください。


無機質な声が頭に響く。

強烈な磯の香りと共に、カナデは目覚めた。

全面、熔岩が冷えて固まったような黒黒とした岩に覆われ、所々に透き通ったガラス質や、色とりどりの魔石が見える。

(魔石…?転移は…また失敗?)

遠くの方から金属と鉱石がぶつかり合う音がする。体を起こすと、そこには黒黒と聳え立つ城と、採掘に勤しみ土人形たち。

「…カナデさん!?どうしてこんな所に」

城の方から軍服に身を包んだ男が現れる。

「ランクス…くん?」

「覚えてくれてて嬉しいなー。かれこれ10年になりますか」

「じゅ…‼??」

完全に理解してしまった。

(10年後の同じ世界って…どういうこと‼?)

唐突に現実を突きつけられ、途方に暮れるしかないカナデであった。

はい、2人目の主人公、カナデさん退場です。お疲れ様でしたー。

そして累計1000PV、ありがとうございます。

プロット版では10年後の時間軸とブラムの時間軸で並行する予定でしたが…今の時間軸もブレッブレですけど…特にセキトの閑話とか、完全に10年後設定まで飛んでるし…これ以上読者様に混乱を招かないように一旦退場です。

ちゃんと戻ってきます。ご安心ください。

さて、ようやくキーマンのランクスくんが登場しました。

これでようやく中盤です。

ここまでついてきてくださった皆様、ありがとうございます。そしてここからお目通しいただいた方、過去話もよろしくお願いいたします。

筆者は長時間通勤がある限り書き続けることでしょう。何卒よしなに、よろしくお願いいたします。

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