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吸血鬼の里4

ひょんなことで生まれ故郷と思われる場所の特定はできた。

(正直自分の出自なんてどうでも良いんだが、万が一俺が吸血鬼ってバレた時に吸血鬼=駆除対象のままでいられても困るしな)

街を出ると、人目につかない場所から一気に高高度まで舞い上がる。空は快晴。月も陰り一つない満月だ。

(今日は日の出まで時間はあるし、先に偵察と洒落込みますか)

いくつかの村を眼下に見ながら夜空を飛ぶ。目的の村は、闇夜の中にあって殊更に黒い靄が立ち込めていた。

規模こそ村だが、建物は上に伸び、街の中心街にあるものと大きさに遜色はない。だが、そこかしこが蔦に覆われ、随分な年期を思わせる。石畳も草が繁茂し、手入れは為されていないようだ。

話にあった通り、住人たちは骨と皮だけの体でウロウロするばかりで、自分の意志で動いている様子は微塵もない。

(負けたら俺もこうなるってことか…それはそれで人生イージーモードかもだけど、やっぱ自分の人生は自分で歩かなきゃね)

黒い靄、高濃度の魔素が干渉して気配察知がうまくいかない。

(所々光ってるの、あれ全部魔石か。ってことは、とんでもない魔素量だな。長居は無用だ、さっさとずらかる…)

足に何かが巻き付き、一気に下に引っ張られる。背中から地面に打ち付けられ、肺に一気に魔素が流れ込むのを感じる。

(しまった…結構吸った…)

「ほう、まだ生きている同胞が居たとは。見ない顔だけど、今まで何処に居たんだい?」

青い髪に赤い瞳、黒い白目。ラスト村人発見の瞬間であった。

「銀髪に金色の瞳…キミが噂の真祖か。はじめまして、センパイ」

「しんそ?ふん、出来損ないとしか言われた記憶がないもんでね」

「おやおや。デイライトウォーカーだからって完全体だなんて、ただの迷信だよ。よっぽどバカばかりだったんだね、心底幻滅したよ。ガッカリだ」

青髪の男は一人の眷属の頭を蹴り飛ばす。頭だけが何処へともなく吹っ飛んでいった。

「ボクもセンパイと同じで日光は駄目なんだ。ボクの時は、センパイが先に居てくれたからかな、あんまりバカにされなかったよ。強かったしね、ボク」

もう1人の眷属の足の甲を踏みつけて粉々にする。

「ねえ、ボクとセンパイで吸血鬼の国を作ろうよ。ちゃんと地下街も作ってさ、いつまでも楽しく過ごそ?」

「生憎、俺は只人との生活も気に入っていてね。御免被るよ」

「そっか。じゃ、吸うね」

男の口は耳まで裂け、先程の美青年ぶりは微塵も感じられない。ブラムは足元に絡みつく眷属たちの髪を部分霧化ですり抜けると走り出した。

「霧化か‼使えるヒト初めて見たよ。やっぱり真祖は使える特性が多いんだ。楽しいね」

前方を塞ぐ骨皮筋衛門たちを押しのけて空へと舞い上がる。肺に入った魔素を早く追い出そうと深呼吸する。

「無駄だよ」

背後に気配を感じた時には延髄に衝撃が走り、再び地に落とされる。

「2度も食らうか…よ‼」

既の所でホバーリングし、再び魔素溜まりから上空に距離を取る。

「素晴らしきスピードだ。ふふっ。そんなに魔素を吸うのが嫌なの?こんなに美味しいのに」

(くそっ、戦うにも下は魔素溜まり、上がってもすぐ落とされる。攻め手に欠けるな。しかも無駄に顔と声が良いの、無性に腹立つ…‼)

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