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サムライ·イン·ザ·ダーク5

(同級会には行けません。今私は、異世界で友だちが起こした暴力沙汰に付き合って、牢屋に居ます…ふっ…)

ノムとは別の独房に入れられる。隣とは薄い壁で仕切られ、通路側には格子が嵌められている。

(わたし、何もしてないんだけどな…。なんか【革命】とか言ってなかった?冒険者じゃなくても二つ名って付くのかな)

「この香り…もしやカナデ殿ではあるまいか?」

急に隣から声をかけられる。

「ぜ…ゼンエモンさん!?」

「おお、数時間ぶりでござったな。斯様な所で何を…」

「友だちが食堂で騒ぎを起こしまして…私は何もしてないんですけどね」

「ふむん、それは厄災であったな。拙者は町中で刀を抜いたらこの有様よ」

さして反省していないのか豪快に笑っている。

「鼻が利きすぎていかん。魔物肉の商人を魔物と取り違えるとは…まあ、その商人も大概だったがな。またいずれ手合わせしたいものよ」

以前の二つ名は【悪鬼羅刹】、血気盛んが有り余る人物なのだと完全に理解した。

(完全に自業自得では…)

「ところでカナデ殿は、この街に住まうという雪女の噂は、何か聞いてはおらぬか」

「い、いいえ。私もここに来て半年以上にはなりますが、まだ…」

「それは失礼した。なんでも【銀氷の魔女】と二つ名が付いた冒険者と聞くが、もう数十年前の話ゆえ、鬼籍に入ってるやもしれぬな」

「あの…私からも質も…」

「おい、そこの二人。静かにしなさい」

急に割って入るのは交代したばかりの守衛だ。

「ちと喋りすぎたな、拙者は寝る」

「おやすみなさい」

独房にはゴザが一枚と用を足す用の壺が置かれただけで、他は何もない。

(天井のシミでも数えてれば終わる…かな。ノムさんは…たぶん大丈夫。今頃技術に関する考察で頭がいっぱいだろうし、帰ってきたらまた働くんだし、今は少し…休…)

数日間の路上生活は彼女のメンタルを図太くしたのか、日頃の疲れが一気に出たのか、瞬く間に入眠する。


「…さて」

守衛はカナデが完全に寝入ったのを見計らい、ゼンエモンに声をかける。

「師匠、ご無沙汰をしております」

「ふむん、とっくに気づいておったぞ。息災で何よりだ」

「はい。ありがとうございます。師匠のお陰で、無事に守衛で生計を立てられております。師匠がつけてくださった名前のおかげで、身元も割れずに済んでおります」

「それは重畳。細君は息災か?」

「はい。実は、懐妊いたしまして、師匠には報告しなければと」

「そうか!この前まで小童だったが、親になるか…‼」

「産まれたら、いの一番に抱っこしていただけませんか」

「そんな嬉しいことが…我が子すら一度も見えることがなかったのに…良いのか、セイジロウ」

「はい。是非とも!」

セイジロウと呼ばれた守衛は頬を緩ませながら独房の鍵を開け、杖と脇差しを手渡す。

「数は」

「単体です」

「2人でかかるには些か【おーばーきる】ではないか?」

「私も久々の実戦です。ただの魔素中毒者であれば問題ないのですが…」

「素体そのものがバケモノ…ということか」

白く濁った瞳に危険な光が宿る。

「いざ、参ろうぞ」

「はい!師匠‼」

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