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起こせ、産業革命5

「もう、魔力切れ、です」

「お兄ちゃん、もう、安請け合いしないって約束、して…」

「っていうか、あのお姉ちゃんを、どんだけ走らせるつもりなのよ、あんた。鬼畜?」

疲労困憊のノム、ミネス、ローネの3人は、ノムの工房に集まってカウンター席でうなだれていた。

「何もできないって、自分から走ったんです。カナデは、すごいニンゲン、です」

「でもー、長命種なエルフちゃんと違ってー、私たち人間は…ねえ、お兄ちゃん?」

「そう、年取ったら遅れて来るのよ、筋肉痛。3日後に来たときなんて、なんか別の病気疑うわよね」

「ん?一カ月遅れの筋肉痛なんて日常茶飯事、ですよ?」

((ロリババア…‼))


3人が親交を深めていた一方―

「すごい…千切れた腕が…」

「毒が消えました‼何なんですか、この包帯‼」

ギルドの広間は野戦病院と化していた。付与魔術の包帯は比較的に傷の浅い者に、量産型【エルフの羽衣】は重度の者に優先して使われていた。

カナデも、他のギルド職員や回復専門の魔法使いに混じってそこに居た。

「ありがとう、おねえさん。巻き方上手ね」

「母に仕込まれましたので」

「いいお母様ね。大事にしてね」

「おーい、眼鏡のお姉さん!こっちも頼むよ‼」

カナデは呼ばれるがままに向かう。

そこには、右の肩から先が欠損した冒険者が下顎呼吸をしている。酸っぱい物がこみ上げそうになるのをぐっと堪える。

「魔素をモロに食らっちまって、仲間に切ってもらったらしい。幸い魔素中毒は免れたが…」

「魔素…中毒?」

聞き慣れない単語だが、その場に突っ立っているわけにはいかない。

丁寧に、その傷を覆うように包帯を巻いていく。筋骨隆々としているが、その体には他の男性冒険者とは異なる柔らかさがあった。

(私より若い…死なないで、お願い…)

土気色だった顔に、少しずつだが血の気が戻っていく。呼吸も眠っている時のような呼吸へと変化する。

(すごい。本当にすごいよ、ノムさん…‼)

カナデは一晩中走り回った。最後の負傷者が健やかな寝息を立てるまで…。


「マスター、報告します。今回の調査部隊、30人中、重傷者18名、軽傷者8名、死者0名」

「大義であった、リリーくん。他のギルドへの応援要請もスムーズにできたな。成長したな」

「勿体なきお言葉、恐縮にございます」

「しかしだ、リリーくん…」

ギルベルトは言葉を飲み込んだ。責任ある立場の者が憶測のみで物事を判断するのは絶対にあってはいけないことだ。しかし…

(【エルフの羽衣】の知識を持つ技術者、今回の調査隊の失敗、勤勉で聖母のような異世界人、凄腕冒険者の魔素中毒…あまりにも重なりすぎたな…)

「レクターにはあまり情報を漏らすな」

「今まで通りに、ですか?」

「ああ、今まで通りに、だ」

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