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起こせ、産業革命2

レイザンに拠点を移してからの1ヶ月は瞬く間に過ぎていった。

日中のほとんどはワープポータルから小出しに送られて来る荷物の設置に明け暮れる。幸い、カウンターや戸棚、机やベッドなどの大型家具は備え付けの物があり、布団さえ追加で買えば初日から寝床にありつけた。

久々の布団にカナデが舞い上がったのは言うまでもない。

その最中でもノムはレポート作成を義務付けられ、カナデは設置作業の合間を縫って2人分の食料の調達や職人ギルドへのレポート提出に給金や魔石などの資材受け取りなど、忙しなく走り回っていた。

特に食材調達で重宝したのは青空市だった。

青空市は自営業者が一定の出店料をギルドに支払い、その売上は全て自営業者の懐に入る。ギルドが品質を担保しない分、中間マージンが低く抑えられるため、全体的に安価だ。

一方の公設市場はギルドが一旦買取り、ギルドが販売を一括して行うというもの。中間マージンや販売マージンをギルドに払う必要があり自営業者の実入りも少ないが、品質は担保される上、青空市より夜遅くまで営業しているのが利点だ。少しお高めの飲食店でのプロユースや、舌の肥えた貴族のメイドたちが買出しに使うため、青空市と客層が住み分けされているのも大きい。

もう一つの側面は、人種差別への配慮である。

青空市で亜人種が出店すると、必ずと言っていいほど人種差別に付随したトラブルに発展する。実入りは少ないとしても、トラブルなく商売ができるという点では敢えて公設市場への出品を選ぶ亜人種も少なくない。


そんな世間話が交わされるのを往来で聞きながら、カナデは青空市で買い物をしていた。

(ノムさんはトマトっぽいあの野菜が好きって言ってたな。鳥っぽいお肉も買えたし、今日はお肉を焼いてトマト(?)ソースかけてあげよ。エルフって意外にお肉も食べるのよね)

こうして誰かのために献立を考えるのも久方振りであった。元の世界には歳の離れた妹が居る。母親は看護師だったため夜勤も多く、妹との夕飯を作るのはカナデの役目だった。

(シノブ、トウキチくんとうまくやってるかしら。まあ、姪っ子甥っ子を見ることなく、この世界で骨を埋めることになりそうだけど)

『職人ギルドより緊急要請!職人ギルドより緊急要請!至急該当者はギルド総合庁舎へ来られたし!該当者は、魔法付与職人、紡績職人、エルフの魔導具職人、他、土木職人も若干名!繰り返す…‼』

ギルド総合庁舎方面だけでなく、各所から聞き覚えのある好々爺の声が響く。防災無線のような機構があるのだろうか。

(…ノムさんに知らせなくちゃ…‼)



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