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被検体237についての定時連絡

■月■日

魔素耐性を調べるためにオークのコロニーに誘導。1個体のみ魔素濃度の高い個体を認め接触。耐性は十分にありと鑑みる。

■月■日

ポイズンラビットの幼体を捕獲。捕食による毒耐性を確認。成功。同時に炎の加護魔法の発動も確認。

■月■日

アイテムボックス、鑑定魔法の習得を確認。魔力量増加、筋力の増強等も見られ、次のフェーズへの移行に支障はないものと推測。但し、武器は速度を重視した編成への変更が推奨。

特記事項

廃棄が検討されているセーフハウスであるが、住人の存在を確認。尋常ならざる膨大な魔力量を保持する亜人種(加護なし)につき、適時観測を要すると推測。ロストテクノロジーに繋がる古文書を多数発見。今後も保存の方向性で検討されたし。


「ベルちゃん?被検体に関する記述より亜人種の記述の方がちょっと多い気がするんだけど、気のせいかしら」

「気のせいであればどれほど良かったかと、長官」

「あらー、いつもみたいにお母様って呼んでくれてもいいのよー?ここには誰も来ないし」

「あくまで仕事ですので、長官」

王都。王城の敷地内に位置する合同庁舎。魔法技術省のとある一室。

国王直下の機関であることを示す制服の上にローブを羽織った女性が、執務机の椅子に腰掛け上目遣いにベルを見つめる。

その目は瞳が拝めない程の糸目で、常に微笑をたたえている。実母ながら、表情の掴みづらさが苦手であった。煩い男児はもっと苦手だが、考えていることが分かりやすいだけ多少はマシと言える。

「ベルちゃんはそっちにかかりきりだし、亜人種の方に誰か応援を寄越してほしいってこと?それだけの価値はありそ?」

「私はそう愚考します」

「ふーん…前向きに検討しとく、わ」

「ありがとうございます」

亜人種への差別は国の法律上罰則を設けているだけでほぼ野放し。ましてや召喚勇者などの異邦人については、国賓待遇とは口先だけで、実態はモルモットでしかない。

「「全ては国家、人間種の為に」」

「ふふ、あなたもよく分かってきてるじゃない」

反吐が出る。でもそれを表情に一欠片でも出すわけにはいかない。

「がんばってね。期待してるわ」

表情を見せないように深々と礼をし、そそくさと執務室を後にする。

「ごめん…ごめんなさい…セキトさん…」

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