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第50話 バハムート


 ホターラカにやって来た俺の目に映ったのは、破壊された城壁だった。

 街の中には叫び声や悲鳴が飛び交い、住民が逃げ惑っている。

 住民を先導しているのは恐らく第2騎士団だろう。

 人の流れを見るに、どうやら王宮の方へ避難しているようだ。

「あっちだ!」

 俺は逃げ惑っている人達に声を掛けながら王宮に向かう。


「アトス殿、ご協力に感謝致します」

 王宮前に居たのは第2騎士団長エルメスだ。

 騎士団長にしては珍しく剣よりも魔法が得意で、サラやシエラに負けるとも劣らない程の腕前だ。

 と言っても、剣の腕前も一流で、王国騎士団の中では3番手だという。

 総合力では第3騎士団長クリフに勝るという評価で、第2騎士団長に就任したとのことだ。

「何があった?」

「王家の方々と第1、第3騎士団が出陣された後、我々は王都にて警戒態勢を取っていました。

 しばらくして、遠くから戦闘音が聞こえてきたと思うと、突如魔物が現れました。

 その魔物は我々第2騎士団で討伐したのですが、念のため住民を避難させているところです」

「王宮に避難する理由は何だ?」

「我々の魔法にて、王宮全体を結界で覆うのです。

 さすがに王都全体は無理なので」


『お兄ちゃん、四聖獣達の様子がおかしいよ』

「四聖獣が? どんな様子だ」

『怒っているのか、怖がっているのか、そんな感じ』

「・・・・・・もしかして、四凶か!?」

 これまで何度か四凶の眷属と遭遇または気配があった時、四聖獣は怒っているような憎んでいるような、そしてどこか怯えを感じるような状態になっていた。

 四凶の眷属でもかなりの強さだった。四凶の強さは計り知れない。

 もし今、四凶と出会って正気を失ってしまったら危ない。

「オト、ショウ、ジョグ、ユキ、聞こえるか。

 聞こえたら何があったか教えてくれ」

「何となく嫌な気配がしている。多分、窮奇きゅうきだ」

「オトもか。俺も今、檮杌とうこつの気配を感じている。

 まだ姿は見えないし、フワッと感じているだけだが」

「儂は渾沌こんとんの気配を感じておる。

 もしかしたら、儂ら四聖獣を狙っているのかも知れんの」

「私も饕餮とうてつの気配を感じているわ。

 苛立たしいこの気配・・・・・・

 狙ってくるならさっさと姿を現せばいいのに!」

「ユキ、落ち着け。

 今のお前達で四凶に勝てるのか?」

「正直なところ、厳しいのぉ。

 儂等はそれぞれ成体となってそれなりに成長した状態で、一度四凶に敗れて生まれ変わったのじゃ。

 今の儂等はまだ成体になって間もないからのぉ」

「でも、今のボク達にはアトスの加護があるよ。

 それと、アトス。ボク達に持続強化をかけてくれないかな」

「勿論だ。持続強化×20をかけておく。

 それでももし危なかったらすぐに連絡をくれ」


『お兄ちゃん、ユマランにもドラゴンが2体現れた。

 私も行った方がいいかな?』

「そうだな。騎士団だけではドラゴンに勝てても竜人ドラゴニュートに勝つのは厳しいだろう。

 但し、陽動作戦の可能性が高い。

 念のためオービ全体に結界を張っておいてくれ。

 それから、竜人ドラゴニュートを倒したらすぐにオービに戻るんだ」

『分かった』


 アヌグラ・マニュー団はドラゴンを何体も、それもあちこちに召喚する力を持っていたのか。

 これまでの迷宮ダンジョンの異常は実験に過ぎなかったのだろうか。

 ・・・・・・考えても仕方ないか。

 今は何が起こっても対応できるようにしておこう。


「アトス殿!」

 エルメスの視線の先に、巨大なドラゴンのような魔物が居た。

 似てはいるものの、どことなくドラゴンとは違っている。


  種 族: バハムート

  ランク: S9


 バハムート・・・・・・ランクS9!?

「エルメス、こいつは危険だ。ドラゴンの比じゃないぞ!」

「なっ!?」

「騎士団は住民と共に王宮に避難しておいてくれ。

 それから、出来るだけ結界を重ね掛けしておいてくれ」

「承知した!」


 俺の探索に反応は無かった。

 なのにバハムートはすぐそこに居る。

 どういうことだ・・・・・・?

 今、俺の探索円はバハムートを探知している。

 ということは、突然ここに現れたという事だ。

 すぐ近くにアヌグラ・マニュー団が居て、召喚したのだろう。

 それにしても、まさかS9ランクの魔物を召喚できるとは。

 アヌグラ・マニュー団の力はどれほどのものなのだろうか。


 っと、悠長に考えている暇は無かった。

 エルメス達が王宮に結界を張ってくれているが、出来るだけ王都に被害を与えたくない。

 今でもすでに城壁や建物が一部破壊されてしまっているのだ。

 これ以上の被害は何としても防ぎたい。

 俺は王都全体を五重の強化結界で覆う。

 さらに、バハムートの気を引きながら王都と反対側に移動する。


 俺が結界を張って移動する間、バハムートは何ら攻撃を仕掛けてこなかった。

 じっくりと俺を観察している。

 王者の風格とでも言えそうな、威厳溢れるその佇まいに俺は見惚れていた。

 威風堂々、気高き竜。

 そんな印象を受けたが、その攻撃はとてつもなく荒々しく恐ろしいものだった。

 その咆哮は空を穿つ。

 その腕を振るえば草木は吹き飛び、岩は砕け散る。

 その威力は、三重の強化結界で辛うじて防げるほどに凄まじい。

 バハムートと戦っているだけで国が滅びかねない。

 一気に決着ケリをつけなければ!

 【超重力崩壊爆発スーパーノヴァ】しかない。

「なにっ!?」

 重力球を発生させた瞬間、バハムートが【隕石メテオ】を放つ。

 ちょっと待て! これは洒落にならない。

 かつてアメミットが使った隕石メテオとは比べ物にならない。

 一つ一つの隕石が巨大で、さらに速度が違い過ぎる。

 ダメだ、このままでは王都の結界が持たない。

 【超重力崩壊爆発スーパーノヴァ】をキャンセルして、王都に結界を張り直す。

 【巨大隕石メガ・メテオ】は中々降り止まない。

 結界を破られるよりも早く、結界を張り続ける。

「ぐっ!」

 【巨大隕石メガ・メテオ】を放ちながら、俺めがけて息吹ブレスを吐き出してきた。

 しまった!

 一瞬、王都の結界を張るのが遅れてしまった。

 【巨大隕石メガ・メテオ】が一つ、王宮に直撃し、エルメス達が張った結界を次々と破壊していく。

 まずい! 慌てて王宮に強化結界を張る。

 ・・・・・・

 ・・・

 何とか【巨大隕石メガ・メテオ】を防ぐことが出来た。

 エルメス達が結界を何層も張り足しておいてくれたおかげだ。


 今度こそ決める。

 【超火球電磁砲ソーラーフレア】!

 激しい音と共に凄まじいエネルギーがバハムートを襲う。

 だが、恐らくこれでは倒せない。

 俺は続けざまに【超重力崩壊爆発スーパーノヴァ】を放つ!

 ・・・・・・

 ・・・

 重力が1万倍を超えているにもかかわらず、バハムートは咆哮を放つ。

 しかし、咆哮は重力に呑まれていった。

 重力が3万倍、4万倍になってもバハムートは足掻いている。

 とんでもない肉体強度だ。いや、魔力で重力に抗っているのかも知れない。

 だが、まばゆい閃光とともに轟音が鳴り響くと、バハムートはその爆発とともに消え去った。


 バハムート、恐ろしい魔物だった。

 【超重力崩壊爆発スーパーノヴァ】を開発していなかったら倒せていなかっただろう。

 もしこれより強い魔物が居たら・・・・・・

 【超重力崩壊爆発スーパーノヴァ】が通用しないなんてことは無いと思うが。


「エルメス、恐らくもう大丈夫だ」

「アトス殿、先ほども魔物は・・・・・・」

「かなり手ごわかったが、何とか倒せた」

「さ、さすがはアトス殿。

 隕石が降って来たときはもうダメかと思いましたよ」

「怖がらせてしまったな。

 だが、エルメス達が結界を何層にも張っておいてくれたおかげで何とか防ぐことが出来た」

「微力とは言え、お役に立てて良かったです」


「俺はドラゴン討伐隊の様子を見に行ってくる」

「分かりました。

 私たちはここで王都の復旧に努めます」


 第1、第3騎士団はそれぞれ東と南の城門外で迎撃態勢を取っているはずだが、そこには居なかった。

 恐らく、街に被害を出さないため、少し離れた場所で迎撃することにしたのだろう。


 アヌグラ・マニュー団の話から、ホターラカにはドラゴンが5体出現しているはずだ。

 王家、第1、第3騎士団では守り切れない可能性がある。

 戦って負けることは無いと思うが、全てのドラゴンを足止めできない可能性は高い。


 これ以上、王都ここに魔物を近づける訳には行かない。


次話は明日アップ予定。


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