表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/54

第5話 邂逅

ブックマークありがとうございます。


いま何か聞こえた気がする。

聞こえたというか、なんというか。


(タス・・ケ・・・テ)


!!

やっぱり。

頭の中に直接届いた声(らしきもの)


どこだ?


常時発動している探索魔法には引っかからない。

範囲を拡げてみる。

・・・いた!


身体強化・持続回復をかけて急ぐ。

(身体強化は負担が大きいので持続回復も合わせてかけている)


反応のあった場所へ向かいながら、鑑定結果を確認。

???のひな

スケルトン×2体

ウィル・オ・ウィスプ×2体


まだ出会ったことのないモノばかりだ。


「???の雛、か」


今の俺には鑑定できないってことだよな。

そんな存在を、俺が助けられるのか?

ふと、そんな疑問が頭をよぎったが、その雛はどうやら弱っているようだ。急ごう。


「見えた!」


魔物の注意を引くため、ワザと大きめの声を出す。

アレが???の雛か。うっすら輝いているような。神々しい雰囲気だな。

やはり、かなり弱っているようだ。

とにかく、急いで助けよう。


さっきは急いでいたため魔物の弱点を確認していなかった。なので、もう一度鑑定しておく。


種族: スケルトン

弱点: 火、光


種族: ウィル・オ・ウィスプ

弱点: 水、光


光魔法はまだ使ったことがない。

火と水か。

それならお手の物だ!


魔物全てにマーキングし、スケルトンに火球を、ウィル・オ・ウィスプに水弾を放つ。

が、スケルトンは盾であっさりと火球を防いだ。

一方、ウィル・オ・ウィスプはダメージを受けたようだが、まだ倒せていない。


雛はかなり弱っている。のんびりしていられない!

竜巻で魔物を集め、そこに炎柱を発生させる。

そのまま、消火を兼ねて豪雨スコールを・・・ん?

スケルトンは倒せたようだが、ウィル・オ・ウィスプの様子がおかしい。

炎を吸収している!?

さらに、2体のウィル・オ・ウィスプが合体し、巨大な青炎の塊になった。

どうやらこいつに火魔法は厳禁らしい。

まとめて倒そうとしたのが仇となった。


「火球!」

ウィル・オ・ウィスプが火球を放ってきた。

しかもデカい!!


慌てて水弾を放ち、それをかき消す。

ちょっと焦ったが、今の俺ならデカい水弾を放つのなんて朝飯前・・・っておい!!


「火球!×2」

ウィル・オ・ウィスプは涼しい顔で、火球を連発してくる。


(水弾!×2)

ちょ、ちょっと待て!

デカい火球をそんなにポンポン撃てるのかよ・・・

早く倒さないと。


(豪雨!)

ウィル・オ・ウィスプを中心とした小範囲に、豪雨が降り注ぐ。

さすがにこれは躱せないだろ。


火炎弾フレイムバレット!」

「なっ、マジか!」


豪雨を浴びながら、ウィル・オ・ウィスプはさっきよりもさらに大きな、燃え盛る火の球を撃ってきた。


(水弾! 石壁!)

ドォォォン!!


石壁が崩れ落ちたが、何とか防ぐことができた。


あ、危なかった。

水弾で弱らせた上であの威力か。


「グオォォ・・・」

ウィル・オ・ウィスプは消滅した。

どうやら、豪雨が効いたようだ。

最後の力を振り絞って、あの火炎弾を撃ってきたのか。

恐ろしい魔物だ。

なんとか倒せてよかった。


おっ、魔法石が出た!

少し大きいような気がする。


(鑑定)

魔法石(中)

魔法数: 0 / 2

魔 力: 0 / 75


「うぉっ!」

つい叫んでしまった。

初の魔法石(中)ゲットだぜ!


っと、そんなことしてる場合じゃない。


「大丈夫か!?」

俺は急いで傷ついた雛に駆け寄り、急いで治癒魔法をかける。


「近くに他の魔物は居ないから、もう大丈夫だ」

「君は?」

「俺はアトス。プログラマーだ」

「アトス、ありがとう。助かった。・・・ところで、プログラマーって?」

「俺の職業だよ。プログラムを書く仕事だな」

「・・・プログラム?」


(プログラム、か。この世界にパソコンはなさそうだし、簡単に説明するには・・・)


「やりたいことの手順を並べたもの、かな」

「うーん・・・よくわかんない」

「そ、そうか」

(ま、プログラムが何かって説明は難しいし、あれで理解しろってのは無理があるな)


「ところで、君は?さっき魔物と一緒に鑑定したんだけど、???の雛って出たんだ」

「ボクは鳳凰・・・の雛だよ」

「ホ、ホウオウ!?」

(それでか。なんだか神々しい雰囲気だと思っていたんだ。聖獣、もしくは神獣だったか)


それから俺は、なぜ襲われていたのかを聞いてみた。

ここから少し離れたところに迷宮ダンジョンがあるらしく、その迷宮の様子がいつもと違っていたそうだ。

狂暴化した魔物が次から次へと外に出てきて、近くにいた鳳凰も襲われてしまった。

しばらく魔物を倒していたが、そのうちに魔力が切れてしまったので逃げた。

そして、力尽きて倒れてしまったところを、追いかけてきた魔物に襲われた。

そこに俺が現れた、ということだ。


「魔力切れか。・・・そうだ。これを食べるといい」

俺は魔力が回復するリンゴを鳳凰に渡した。


「これは・・・マナリンゴ!?」

「マナリンゴ?リンゴと何が違うんだ?」

「食べると魔力が回復する、特別なリンゴだよ。貴重なものだけど、本当に貰っても良いの?」

「あぁ、いいよ。また魔物に襲われたりしたら困るだろ。早く食べな」

「ありがとう!」


ムシャムシャ。

美味しそうに、嬉しそうに、鳳凰はリンゴを頬張る。


──


リンゴを食べ終えた鳳凰は、なにやら歌のような、不思議なメロディーを発して喜びを表現している。

優しく包み込まれるような、撫でられるような、不思議な感覚。

どこか懐かしさを感じられ、心に温もりを覚える。

聴いているだけで、身も心も癒される。


「キレイな音だな」

「えへへ、ありがと」

「お前、名前はないのか?」

「僕は人間でも亜人でもないからね。名前はないんだ」

「そっか。じゃホウオウ、気を付けてな」


無事に助けることが出来たし、迷宮とやらが気になる。

とりあえずそこに向かうとしよう。


「ねぇ、アトス。君はこれからどうするの?」

「そうだな。とりあえず、その迷宮に行ってみようと思う」

「あの・・・、ボクを仲間にしてくれないかな」

「・・・」

「ダメ?」

「いや、むしろありがたいんだが、ホウオウってのは呼びにくいな、って」

「じゃあ名前、付けてくれる?」

「あぁ、いいぜ。じゃあ・・・」


(名前、か。そういえば、すごくキレイな音だったな。音・・オト)

「オトってのはどうだ?」

「オト。・・・うん、なんだか可愛いくて、いい名前だね」

「じゃあこれからお前はオト、だな」


ボンッ!

「えっ!?」


オトが人間になった・・・いや、人の姿になった。

うっすらと金色こんじきに輝いて見える美しい髪、つぶらな瞳。

どこからどうみても可愛らしい女の子だ。

それでいて、どこか気品があるような。


「ど、どういうことだ?」

「アトスをあるじと認めたから、アトスと同じ種族の姿になれるようになったんだ」


(そんな能力があったのか。それより・・・)

「あ、主?」

「うん、主。これからよろしくね!」

「いやいや、上下関係は好きじゃないんだ。対等な仲間じゃダメか?」

「主がそういうならそれでいいよ。でもま、主従関係は切れないけどね」

「そ、そうなのか。まぁそれはそれとして、対等な仲間ってことでよろしくな!」

「うん、じゃあそういうことで、よろしくね、主」

「主ってのもやめてくれ・・・」

「じゃあアトス、よろしく!」

「あぁ、よろしくな」


初めての仲間。

独りじゃないってのは、嬉しいもんだな。


こうして俺は、【鳳凰オト】とともに旅をすることになった。


(迷宮の暴走、か。なにか原因がありそうだ)


次から第2章に突入。

明日アップ予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ