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第49話 終わりの始まり


 フォーレの騎士団詰所には、ほとんど騎士が居なかった。

 僅かに残っていた騎士達に話を聞くと、街の東側にドラゴンが2体出現したらしい。

 街への被害を避けるべく、街に近づく前に討伐するため森の守護団と紅が打って出たと。

 詰所を出て街の様子を見ると、住民達の混乱が見て取れた。

 この街・・・・・・いや、この国はそもそもあまり強い魔物は出てこなかったと聞く。

 だからこそ、他国と違ってタンバサには二つの街が成立しているのだと。

 この平和な島国に今、世界でも目撃例の少ないドラゴンが現れた。

 それも2体同時に。

 住民が混乱するのも無理はない。

 もしドラゴンが街までやって来たら、どこに隠れても意味がない。

 だからと言って街を飛び出しても、どこにも安全な場所などない。

 この街の住民たちは今、絶望の淵に立たされているのだ。

 唯一の希望は森の騎士団と紅。

 彼らにドラゴンを討ち取ることが出来れば、この街は助かる、と。


 俺には嫌な予感があった。

 街の守護者たる森の守護団と冒険者パーティー紅。

 そのどちらもが今は街の外だ。

 もちろん、他にも冒険者パーティーはいくつかある。

 それでも急成長を遂げている紅とは比べるまでもない。

 もし今ここに魔物が襲ってきたら。

 もし森の守護団や紅が向かった先に居るのがドラゴンだけでなかったら。

 嫌な不安を払拭ふっしょくするため、俺もドラゴンの所へ行く事にする。

 この街を放っておく訳にもいかないので、街全体を5重の結界を張っておく。


 ドラゴンが出たのは街の東だったな。

 俺は急いで街を出た。

 ・・・・・・

 ・・・

 東に向かって走りながらさらに嫌な予感がした俺は、アイと四聖獣に連絡する。

「皆、今すぐ修行を中断して警戒態勢を取ってくれ」

「アトス、どうしたの?」

「タンバサ国に何体ものドラゴンが現れた。

 それも、二つの街を同時に狙っているようだ。

 もしかしたら他の国にも何らかの魔物が出現するかも知れない」

「「「「「了解!」」」」」

 それぞれ自分が居る国に伝えてくれたようだ。

 警戒態勢については騎士団に任せておいた方が良いだろう。

 俺達は遊軍として臨機応変に動いた方が良い。

 念のため、その旨も皆に伝えておいた。


 ──


 東に向かう程、魔物の数が増えてくる。

 これまでの迷宮ダンジョンの異常と似たような感じだが、タンバサの迷宮ダンジョンの異常時と比べると魔物のランクが遥かに高い。

 もしかしたら、ジパングに近い状態なのかも知れない。

 もし修行をしていなかったら、この時点で対抗することは出来ていなかっただろう。

 だが今や、森の守護団も紅もSランクの魔物など全く問題にならない程の強さを身に付けている。

 この程度の魔物の強さでは心配はいらない。

 ・・・・・・と言いたいところだが、さすがにこの数はまずいかも知れない。

 一番の脅威となり得る(ドラゴンを目指し、その他の魔物は進路に居るもののみを討伐しているようだが、それでも相対する魔物の数は相当だろう。

 万が一魔法使いの魔力が尽きてしまうと、途端に集団としての戦力も落ちてしまう。

 支援魔法は勿論だが、攻撃魔法によるサポートも戦闘においては重要なのだ。

 とは言え、そこは彼らを信じるしかない。


 もう一つの問題は、放置されている魔物達だ。

 ドラゴンを倒すことが最優先なのは間違いなく、一直線にそれを目指したと思われる彼らの行動は正しい。

 とは言え、他の魔物達を放置しておくと、フォーレの街に向かってしまうかも知れない。

 俺の魔力も随分回復してきているから、とりあえず森の守護団や紅に出会うまでの魔物は討伐しておくことにしよう。

 ドラゴンをなぜ倒さないか? と言うのは、森の守護団と紅に実戦経験を積んでもらいたい、と言うのが一番の理由だ。

 もちろん危なそうであれば支援はするが、出来るだけ彼らだけでドラゴンと戦って、討伐できたという経験と実績を残して欲しい。

 それは彼らの自信となり、誇りとなるものだからだ。


 しばらく走ると、激しい戦闘音が聞こえてきた。

 2体のドラゴンはかなり近くに出現していたようだ。

 すぐ近くで森の守護団vs竜ドラゴン紅vs竜ドラゴンの戦いが繰り広げられている。

 今のところ、どちらも問題はなさそうだ。

 森の守護団も紅も、徐々にドラゴンを追いつめている。

 このまま俺が来たことは知らせずに、彼等だけでドラゴンを倒してもらおう。


 ん? どうやら2体の(ドラゴンの奥に何者かがいるようだ。

 もしかしたら、アヌグラ・マニュー団の者かも知れない。

 誰にも気づかれないよう、カシウスが使っていた隠形術と隠遁を使わせてもらう。

 ・・・・・・

 ・・・

 こんなに近くを通っても誰にも、ドラゴンにも気づかれない。

 俺は魔法を使って模倣しているだけだから難しくはないが、カシウスはこれを魔法無しでやっているのか。

 これはこれでとんでもない事だと思う。


 お、居たぞ。

 黒い法衣の者が三人。黒い法衣を着てるってことは、アヌグラ・マニュー団で間違いなさそうだ。

 黒い法衣を着た者たちは、魔法陣のようなものを取り囲んで何やら呪文を唱えている。

 何をしようとしているんだ?

 ・・・・・・

 ・・・

 なっ!?

 突然、魔法陣の中からベヒモスが出現した。

『よし、これで奴等もお終いだ』

『まさかドラゴンとまともに戦える者が居るとは予想外だったが、ベヒモスが加わることで一気に全滅させられるだろう』

『これもあのお方が編み出した禁断の秘術のおかげよ。

 我らが世界を救う日はすぐそこまで来ているのだ!』

 あのお方ってのも気になるが、それよりも今はベヒモスだ。

 さすがにコイツが加わっては森の守護団、紅に勝ち目は無い。

 アイツらが気付く前に倒しておこう。

 【封殺超爆発・改プリズンド・エクスプロージョン】!

『なっ、何が起こった!?』

『せっかく我らが生み出したベヒモスが』

『まさか、失敗したのか?』

『まぁよい。あの街の戦力は全てここに来ておる。

 あちら側で召喚している魔物があっという間に街を破滅に導くだろう』

ドラゴンで戦力を引き寄せる作戦が成功したという訳だな』

『そういう事だ。これでフォーレは陥落するであろう』

 あちら側・・・・・・もしかして、ドラゴンを使った陽動作戦なのか?

 ドラゴンを倒せなければ話にならず、さらにドラゴンを倒せたとしてもその隙に別の魔物が街を襲う・・・・・・なんて奴等だ。

『ホターラカもそう長くはもつまい。

 タンバサ王家と言えど、ドラゴン5体を相手にしてはどうしようもなかろうて』

『そうだな。さらに別動隊が居るのだから、もはや詰んでいる』

『厄介な四聖獣が残っているが、奴等はまだ全盛期には程遠い。

 四凶の相手ではないわ』

『さきに手を打っておいたのが功を奏したって訳だ』

「そう言う事だ」

 なるほど、こいつらの狙いは大体わかった。

 だが、最後のポイントが見えない。

 四凶を召喚して四聖獣を倒し、そのまま世界を破滅すると言う事か?

 それならもし四聖獣が勝ったらそこで奴等の計画は終わりだ。

 今回の陽動作戦や事前に障害となり得る四聖獣を狙ったことを考えても、その程度の計画しか立てられないとは思えない。

『後はあのお方がジパングで行っている、最後の大召喚を待つだけだ』

『クックッ、これで世界は浄化され、我らによる新世界が幕を開けるという訳だ』

 やはりジパングか。

 だが、これで奴等の企みは大体分かった。

 さっさとコイツ等を捕まえて、魔物も倒してフォーレに戻ろう。


『アヌグラ・マニュー団万歳!』

 結界で縛りつけた途端、奴等は自らの命を絶った。

 本当に徹底している奴等だな。


 後ろから歓声が聞こえてきた。

 森の守護団がドラゴンを倒したようだ。

 だが、まだ油断してはいけない。

 竜人ドラゴニュートに進化する可能性が高い。

「まだだ、油断するな!」

 リチャードが檄を飛ばす。

 そして、やはりドラゴン竜人ドラゴニュートに進化した。

 さすがに彼等だけでは危険だ。


ドラゴンを倒したようだな」

「アトス! 来ていたのか」

「今着いたところだ。ところで、竜人アレは強いぞ。

 ドラゴンとは比べ物にならない程に」

「・・・・・・うむ」

「支援しよう」

 そう言って、全員に持続強化×20をかける。

 これで負けることは無い。

「助かる!

 皆、一気に行くぞ!」

「「「「おぉーっ!!!」」」」


 さて、紅の方は・・・・・・どうやらあっちもドラゴンを倒したようだ。

ドラゴンを倒したみたいだな」

「アトス。俺達もやるだろう?」

「あぁ。だが、油断はするな」

竜人ドラゴニュートでしょ? アンタに散々聞かされたから油断なんかしないわ」

ドラゴンより遥かに強いから気をつけろ。

 支援はさせてもらう」

「助かるよ」

 森の守護団も紅も、持続強化×20がかかっていれば竜人ドラゴニュートにも余裕で勝てるだろう。

 後はフォーレの街だ。

「俺は一足先にフォーレに戻る。

 どうやら別動隊が居るようなんでな」

「なんだって!? アトス、街を頼んだ!」

「あぁ、任せろ」


 ──


 フォーレの街に戻ってくると、住民の悲鳴が聞こえてきた。

 城壁よりも背が高く、巨大な斧を持った牛のような魔物が2体、街を破壊しようとしている。

 だが、まだ魔物達の斧は俺が張っておいた結界を破ることが出来ていなかった。


  種 族: ミノタウロス

  ランク: S4


 S4か。住民が怯えてしまっているから、時間をかけずに倒そう。

 【封殺超爆発・改プリズンド・エクスプロージョン】×2

「おぉ、魔物が消えたぞ!」

「神様!」

 胸の前で手を合わせて祈る人々。

 いや、神様じゃなくて、俺なんだけどね。

 でもま、その気持ちは何となく分かる。


 これでフォーレの街は大丈夫だろう。

 あとはホターラカだ。

 アヌグラ・マニュー団の奴等の話しでは、向こうにはドラゴンが5体居るらしい。

 さらには別動隊も居ると言っていた。

 シャルロ達の実力なら竜人ドラゴニュートでさえ倒してしまうと思うが、さすがに数が多すぎる。


 次はホターラカだ。

 必ず守って見せる!


次話は明日アップ予定。


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