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第47話 新魔法2


 俺は新魔法の構想を練りながら、ジパングを散策している。

 【超火球電磁砲(ソーラーフレア)】という、S8ランクの魔物を一撃で倒すことができる魔法は完成した。

 だが、これは『火属性』が主となっている。

 もしかしたら、オトの様に火属性魔法が一切通用しない魔物の場合、爆発が生じる前に火球本体を消し去られるかも知れない。

 つまり、威力が高いというだけではダメなのだ。

 ダメと言うと語弊があるが、それ一つだけに頼っていると通用しない相手と出会ったときに絶望することになる。

 さらに言えば、もっと強い魔物が居た場合に【超火球電磁砲(ソーラーフレア)】で倒せるとは限らない。

 重力魔法なら、恐らく得手不得手というものは存在しないだろう。

 だが、30倍まで重力を強くしてもS7ランクのベヒモスさえ倒すことはできなかった。

 動きを止めることは出来たから使えないというわけではないが・・・・・・。

『お兄ちゃん、またS8の魔物が居たよ。

 吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)だって』

「へぇ、ヴァンパイアか。楽しみだ」


 明らかに周囲の雰囲気が変わった。

 どうやら吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)のおでましのようだ。

 王(ロード)と言うからには男性型だと思っていたが、女性型か。

 S8と言うからには海龍(リヴァイアサン)と同格の強さってことだよな。

 ちょうどいい。新魔法開発の実験台になってもらうぞ。


 うぉっ!

 50mぐらい先に居たはずの吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)が目の前に居た(・・)。

 一瞬なんてもんじゃない。めちゃくちゃ速いじゃないか!

 瞬間移動と言っても言いぐらいじゃないか?

 なんて心の中で突っ込んでいる間は無い。

 吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)は不規則なタイミング、角度で攻撃を仕掛けてくる。

 突き、引っ掻き、蹴り、動きが読めない上にめちゃくちゃ速い。

「いってぇ!!」

 蹴りを躱せないと思った瞬間、確かに俺は結界を出した。

 だが、吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)の蹴りは俺の右頭部に直撃した。

 もしかして、結界が破られたのか?

 海龍(リヴァイアサン)でもヒビが入る程度だったぞ!?

 同じS8ランクのはずなのに、強さにそれほど差があるってことなのか?

 間髪入れずに吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)は追撃を仕掛けてくる。

 俺は攻撃を躱しながら(・・・・・)、結界で受け止める。

 すると、やはり結界は砕け散った。

 どうやら吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)には結界が通用しないようだ。

『お兄ちゃん、そいつの属性は闇だよ。

 言うの忘れてた。てへっ♪』

 てへっ♪ じゃねーよ!

 相性はかなり重要だ。つまり、戦っている相手の属性を知ることは、それだけで戦況をひっくり返しかねない程のことだということ。

 それを『忘れてた』ってか。

 アイ、あんなに仕事の出来る子だったのに・・・・・・。

『お兄ちゃん、自分で鑑定するのも大事だよ?』

 ぐっ。それは確かにその通りだ。

 アイから聞いたのはランクと種族名だけ。

 その時点で自分で鑑定していなかったのは俺の失敗(ミス)だ。


 ・・・・・・そうか。

 闇属性と言うことはもしかして。

 アイと会話しながらも俺は吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)の攻撃を躱し続けている。

 今思いついたことを試してみる。

 よしっ! やはりそうだ。

 結界に光属性を持たせることで、吸血鬼の王(コイツ)の攻撃を防ぐことが出来た。

 これで防御面に余裕が出来る。

 さて、今更ながら改めて鑑定してみる。


  種 族: 吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)

  ランク: S8

  属 性: 闇

  スキル: 召喚


 召喚スキル持ちか。

 でも珍しいな。これまで召喚スキルを持っている魔物と何度か戦ったが、大抵は最初から魔物を召喚していた。

 だが吸血鬼の王(コイツ)はまだなにも召喚していない。

 こっちからも攻撃してみるか。

 闇属性の弱点は恐らく光だろう。

 光を凝縮した矢を無数に出現させ、吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)めがけて一斉に発射する。

 光の矢は次々に吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)の身体へと突き刺さっていく。

 吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)が苦悶の表情を浮かべた瞬間、その身体が砕け散ったかに見えた。

 だが、どうやら砕け散ったのではなく吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)が分裂して蝙蝠になったようだ。

 蝙蝠の群れはそのまま俺に襲い掛かって来た。

 即座に光結界を張ったが、直前で進路を変え、結界を避けて攻撃を仕掛けてくる。

 俺は防ぎきれず、数匹の牙を喰らってしまった。

 蝙蝠たちの攻撃は止まず、何度も何度も繰り返される。

 その動きに慣れてきて、蝙蝠たちの攻撃を躱しつつ光結界で防いだ途端、通過していった蝙蝠の一匹の姿が吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)に変わる。

「なにっ!?」

 吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)はそのまま俺に攻撃を仕掛けてくる。

 さらに、他の蝙蝠たちも攻撃を続けてくる。

 どういうことだ?

 吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)の身体が分裂して蝙蝠になったはずだが、そのうちの一匹が吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)になった?

 俺は再び吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)と蝙蝠の群れを鑑定する。


  種 族: 吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)

  ランク: S8

  属 性: 闇

  スキル: 召喚


  種 族: 吸血鬼(ヴァンパイア)

  ランク: S5

  属 性: 闇


 ・・・・・・召喚か!

 分裂と共に吸血鬼(ヴァンパイア)を召喚して自身も紛れ込んでいたという事か。

 ん!?

 再び吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)が分裂し、無数の蝙蝠(ヴァンパイア)が出現する。

 おいっ! 一体どれだけ増えるんだよ!

 これはちょっと厄介だな。

 ・・・・・・いや、むしろ都合がいい。

 今思いついた新魔法の実験台になってもらおう。

 俺は重力魔法で奴等の中心に超重力場を発生させる。

 影響範囲を半径10mの球に留めながら、重力をどんどん増していく。

 100倍を超えたところで、蝙蝠(ヴァンパイア)も吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)も球の中心から動けなくなった。

 もっと、もっとだ!

 200倍、300倍、500倍・・・・・・1000倍・・・・・・1万倍・・・・・・

『お、お兄ちゃん、魔力消費が凄いことになってるよ!』

 まだだ、まだいける!

 1万5000倍、2万倍・・・・・・5万倍!

『お兄ちゃん、魔力半分以上使ってる。それ以上は止めた方がいい!』

 アイが警告するが早いか、超重力球がとてつもない光を放つ。

 一瞬遅れて轟音が鳴り響く・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・

『お兄ちゃん、お兄ちゃん、大丈夫?』

 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・

 俺は気を失っていたのか?

 何がどうなったんだ?

 吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)は?

『吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)はお兄ちゃんの魔法でやっつけたよ』

「俺の・・・・・・魔法? 超重力球か?」

『そうだけど、そうじゃない。お兄ちゃん、覚えてない? その超重力球がものすごい爆発を起こしたんだよ』

「・・・・・・確か、超重力球が光を放って、その後轟音が鳴った。

 だが、その後の記憶がない。

 轟音が聞こえたと思った瞬間、俺は気を失ったのか。」

『お兄ちゃんの身体はね、その爆発に巻き込まれて吹っ飛んじゃった。

 結界を張るのが間に合わなくって・・・・・・ごめんなさい』

「いや、アイが謝る事じゃない。

 俺が自分で結界を張っていれば良かったんだ。

 それに、まさか超重力球が爆発するなんて思っていなくてな」

『でね、収納空間に魔粘体があったから、お兄ちゃんの魂をそれに入れたの』

「えっ!? ・・・・・・そうか、俺の身体は吹っ飛んだって言ってたな。

 じゃあ、アイが俺を助けてくれたってことか」

『えっとね。私が何もしなくてもお兄ちゃんは大丈夫だったと思う』

「そうなのか?」

『前にジョグが言ってたでしょ? 「肉体が滅びようと、おぬし自身は滅びぬ」って』

「そう言えば、そんな事を言われたな」

『だからね、お兄ちゃんは大丈夫だったと思う。

 でも、今までと同じ身体があった方が良いかなって思って、魔粘体を使ったの』

「そうか。アイ、ありがとう」

『えへへ。お兄ちゃんに感謝されるのって嬉しいね♪』

 やっぱりアイは可愛い妹だな。

『でしょ。お兄ちゃんの理想の妹だもんね!』

 少し悪戯っぽく笑いながらからかってくる。

 ってか、心の中を覗くんじゃないよ!

『気を付けまーす』

 やれやれ。


「ところでアイ、この身体ってその、ご飯食べたりとか普通の人の身体と同じようにできるのか?」

『うん、出来るよ。要らなかったら、魔力で操作できるよ?』

「いや、このままでいい。またいずれ、色々と変えて試してみる」

『うん』


 さて、想定外の魔法で自分自身を吹っ飛ばしてしまった俺だが、それだけ威力のある魔法が出来たってことだ。

 結界をしっかり組み込んだプログラム魔法にしておこう。

 ただ、魔力を半分以上使ったからすぐには試せないな。

『魔力がほぼ空になっても良かったら、さっきの魔法なら十分使えるぐらいには回復してるよ』

 ということは、試せるってことだな。

 近くに魔物は・・・・・・って

「なんじゃこりゃーー!!」

 今まで出したことないような声が出た。

 辺り一面、見渡す限り何もない。地面もかなりえぐれている。

『なんじゃこりゃって、お兄ちゃんがやったんじゃん』

「そ、そうか。さっきの魔法で吹っ飛んでしまったんだな」

 これはとんでもない威力だ。

 結界を何重に張ればいいのか・・・・・・。

『半径5kmに魔物は居ないよ。

 しばらく待ってれば湧いてくると思うけど、強い魔物が出てくるかどうかは分からないよ』

 そうか・・・・・・なら仕方ない。

 魔物なしで試そう。

 少なくともS8の吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)は倒せたし、もっと強い魔物でも倒せる気がする。

 なにせ、自分を守る事すら出来なかったぐらいだからな。


 俺は少し離れた場所、上空に重力球を発生させる。

 重力半径は50mに限定して、さらに結界を100層張っておく。

 これで、重力球の強さを一気に引き上げる!

 さっきと同じく5万倍でまばゆい閃光を放ち、轟音が鳴り響く!

 と同時に、結界が一気に割れていく。

 マズい! 慌てて俺は結界をさらに100層追加する。

 ・・・・・・

 ・・・

 危なかった。

 さすがに200層の結界をぶち破ることはなかった。

 とは言え、残った結界の層はたったの3層。

 恐ろしい魔法が出来てしまった。

 ただし、魔力消費量も半端ない。

 ギリギリで使うと結界が張れなかったかも知れないと考えると恐ろしい。

 この魔法は【超重力崩壊爆発(スーパーノヴァ)】と名付けよう。


 想定外ではあったが、望んでいた切り札となる魔法が完成した。

 さすがに魔力がすっからかんだ。

 一旦マサムネ工房に戻って休むとしよう。


次話は明日アップ予定。


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