第45話 フォーレ
各国に魔法具を配備して回ったアトスは、ついでに四聖獣とアイが騎士団達と修行している様子も見てきた。
その修行について、アトスは引っかかっていることがあった。
「アイ、確かお前はユマランで修行してたんじゃなかったか?」
『げっ、バレた!』
「おいっ! ・・・・・・ま、ユマランの騎士団もしっかり修行できていたから問題は無いと言えば無いんだが、全く」
『いや~、ちょっとシャルロ達と遊んでみたくってさ』
「そのおかげでシャルロ達はかなりレベルアップしていたから結果オーライだけどな。
これからはユマランの騎士団の修行を頼むぞ」
『はーい!』
やれやれ、困った奴だ。
とにかくこれで六国の騎士団の強化は問題ないだろう。
・・・・・・そう言えば。
タンバサ以外は各国に1つしか街が無いが、タンバサにはもう一つ街があったな。
俺がこの世界に来て初めて訪れた街『フォーレ』
あそこの騎士団や紅という冒険者パーティーは元気にしているだろうか。
出来ることなら彼らにも修行してもらってレベルアップしてもらいたい。
俺はフォーレの様子を見に行ってみることにした。
──
「アトス! 久しぶりじゃないか。
ん? 何か雰囲気が変わったな」
冒険者ギルドに入った俺に真っ先に話しかけてきたのは紅のリーダー、クレイドだ。
「あぁ、ちょっとな。
それより、お前達に話が合ってな」
「アヌグラ・マニュー団って組織のことだろ?
王都からの御触れで、俺達は毎日騎士団と合同訓練をしている」
「そうか。それなら話が早い。
今から俺もその訓練に参加させてくれ。
と言っても、あまり長くは居られないが」
「アトスと訓練できるのか!?
それは願ったりだ。早速行こうぜ」
「アンタね、久しぶりに顔を見せたと思ったらいきなりソレ?
もうちょっと積る話とかあるでしょうが」
この口ぶりは・・・・・・
「ナタリー、久しぶりだな」
「アンタが全然顔を出さないからでしょ!
一体、何をしてたの?」
「ま、色々あってな」
「いいけど・・・・・・それよりアンタ、前より強くなってない?
元々とんでもなかったのに、もっと、なんて言うか、不思議な雰囲気なんだけど」
「そうだな。かなり強くなったと思う。
なんせ、色んな魔物と戦ってきたからな」
「まさか、竜を倒してきたとか言うんじゃないでしょうね。
アンタならあり得そうだけど」
「あぁ、竜なら何体か倒したぞ。
竜が進化した竜人も」
「竜が進化!? そんなの聞いたこともないわ。
ただでさえ、圧倒的な強さの竜が進化するって・・・・・・しかもそれを倒したって?
アンタはホント、とんでもない男ね」
「それよりも強い魔物も居たぞ。
海龍って言ってな。
アイツはかなりヤバかったな」
「・・・・・・」
ナタリーは絶句している。
「アトス、久しぶりね」
「レオナ、久しぶりだな。なんだか随分強くなったように見えるが」
「えぇ。森の騎士団との修行のおかげもあるわ。
でも、私達自身も頑張ってるのよ。
紅は今Aランク、もうすぐSランクになれそうなぐらいなの」
「へぇ、すごいじゃないか」
「でしょ? ま、あなた達には到底及ばないけどね。
あっという間にSランクになったって聞いてるわよ」
「ま、色々あってな」
「そう。これから修行してくれるんでしょ? 楽しみにしてるわ」
「アトス、元気そうだね」
「イリス。お前も元気そうだな」
「魔法を教えて欲しいんだけど、どうかな」
「もちろんだ。修行の時にな」
「ありがとう」
──
俺は紅メンバーと共に騎士団詰所にやってきた。
「リチャード、エリン、カシウス、アーサー、久しぶりだな」
「アトス! 久しぶりだな。元気か?」
「あぁ。皆はどうだ?」
「皆元気だぞ。
王都からの御触れがあってから、皆お前に会いたがっていたんだ」
「アトス、久しぶりね。会いたかったわ」
「エリン。元気そうで何より」
「あなたも元気そうね。
ところで、とんでもない事になっているようだけど」
「あぁ、全くだ。
それでな、今日は少しだけだが皆と一緒に修行をしようと思って来たんだ」
「あら、それは楽しみね」
「アトス、久しぶりだな」
「カシウス。久しぶりだな」
「修行、楽しみにしている」
「あぁ、俺もだ」
カシウスは相変わらず口数が少ない。
俺は結構、この武人っぽさが格好良くて好きだ。
「アトスさん、お久しぶりっす!」
元気はつらつなこの感じはアーサーだ。
「アーサー。相変わらず元気そうだな」
「もちろんっす! アトスさんに会えてさらに元気になったっす!」
「嬉しいことを言うじゃないか」
「へへっ。修行、楽しみにしてるっす!」
「あぁ」
「アトス。アーサーはあれからメキメキ実力を伸ばしている。
今日の修行で、みっちりしごいてやってくれ」
「そうなのか。それは楽しみだ」
「望むところっす! アトスさん、よろしくっす!」
──
俺は騎士団と冒険者全員に持続回復と自動回復をかける。
これで疲労やケガを気にせず、全力で修行をすることができる。
「さ、始めようか」
まずは小手調べだな。
俺はBランクの魔物を一撃で倒せる程度の魔法を乱射する。
そこにいる全ての者を不規則に襲う無数の魔法。
森の守護団の半数ほどが戦闘不能になるほどのダメージを受けている。
とは言え、自動回復のおかげですぐ修行に復帰してくる。
「さすがアトスさん。でもこれぐらいじゃ俺は止まらないっす!」
魔法を弾きながらアーサーが接近して来る。
お、おいおい、全力で斬りかかってくるぞ。
俺が死なないとでも思っているのか?
・・・・・・まぁ死なないが。
とりあえず俺はそれっぽく結界で受ける。
だが、アーサーの剣を数度受けるだけで結界にヒビが入る。
「お、おいおい。とんでもない奴だな。
それは普通の剣だよな?」
「そうっす。騎士団で配布される剣っす」
もしかして、アーサーはジャンヌを超える存在かも知れない。
「はっは! アーサーの剣は凄いだろ?
だが、俺も負けちゃいないぞ」
リチャードが負けじと斬りかかってくる。
おっと。結界で受けているのに手ごと持っていかれる。
とんでもないパワーだな。
「あら、私のことを忘れてないかしら?」
エリンがえげつないレーザーを放ってくる。
こんなに強力な魔法を使えたのか。
「エリン、中々やるじゃないか」
「でしょう? でもまだまだこれからよっ!」
エリンは強力な魔法を連続で放ってくる。
魔法の連続発動はかなり高度な技術が必要なはずだが、涼しい顔で魔法を連発してくる。
「えっ!?」
カシウスの剣が俺を一刀両断にしようと斬りかかってきていた。
ギリギリ、ほんの一瞬の差で結界が間に合った。
「全く気付かなかった。カシウス、今のはなんだ?」
「隠形術と隠遁の合わせ技だ。
気配も姿も消し去って相手の虚を突く俺の必殺技だったんだが、さすがはアトスだな。
見事に防がれた」
「いや、今のはかなりギリギリだった。ちょっと焦ったよ」
「俺達を忘れていないか?」
騎士団の主メンバーに気を取られていたところに、紅メンバーの連携攻撃が飛んでくる。
ナタリーの攻撃魔法でけん制しつつ、イリスの支援魔法で強化されたクレイドとレオナのコンビが襲い掛かってくる。
「おっと。忘れちゃいないが、中々いい連携攻撃じゃないか」
「ふっ。俺達も成長してるってことを見せてやる」
騎士団も紅たち冒険者も本当に随分レベルアップしているようだ。
だが、この程度で満足されては困るな。
皆が慣れてくるにつれて少しずつ魔法の威力を上げ、数を増やす。
対Aランク用、対Sランク用、対S1ランク用・・・・・・いいぞ、対Sランクの魔法1撃で倒れる者が居なくなった。
もっと、もっとだ。
俺はそれぞれのメンバーの受けが弱いところ、それぞれの攻撃の隙、連携の弱点などを的確に攻撃していく。
初めは次々に倒れて行ったが、徐々に隙が無くなっていく。
よし、じゃあ総仕上げだ。
「竜と同じぐらいの強さで戦う。
これに勝てたら第1目標達成だ」
・・・・・・
・・・
よし、良い感じだ。
「じゃあ今日の仕上げはパーティー戦だ」
紅の四人、騎士団の四人、それぞれと仕上げの戦いをする。
それぞれのパーティーで竜相当の強さに勝てればOKだ。
・・・・・・
・・・
「皆、随分強くなったな。今日だけでもかなりレベルアップしたぞ」
「アトスのおかげだ。
常に全力で修行でき、少しずつ強くなっていく相手と戦う。
修行としては最高の条件だ」
「役に立てて良かった」
「アンタ、またどこかに行くの?」
ナタリーが少し寂しそうに言ってくる。
「あぁ、色々と忙しくてな」
「そう。無茶しないように気をつけなさいよ!」
「そうする」
騎士団、冒険者たちから感謝されながら、俺はフォーレを後にした。
次話は明日アップ予定。
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