第43話 海龍
ここがジパング・・・・・・魔物の救う島、か。
降り立ってみると、思っていたよりも遥かに大きいな。
タンバサの島ほどでは無いにしろ、ここに国があってもおかしくはないぐらいの広さはある。
周囲に目をやると、草木は枯れ果て、地面のあちこちがひび割れしている。
この様子では、到底、人の住める場所ではなさそうだ。
それに、この島も魔物の数は異常だ。
これまで幾つもの迷宮の異常を解決してきたが、そのどれよりも魔物の数もランクも遥かに上だ。
さっき殲滅した魔物の数も相当だったが、それでも島の一部分に過ぎない。
さらに、魔物はどんどん湧き出てきている。
これがこの島のいつもの姿なのだとしたら恐ろしいものだが、情報によるといつもと違う様子だという。
つまり、迷宮に起こっていたのと同様の異常が発生しているのかも知れない。
やはり、島の全体を確認しておいた方が良さそうだ。
アイが『奥に竜が数体居る』って言ってたのも気になる。
空からでは分からないこともある。
俺はこの島を走り回ることにした。
「アイ、バトルデータが十分に取れている魔物は探知した時点で倒してくれ」
『おっけー♪それ以外はお兄ちゃんが戦う?』
「いや、バトルデータを取りつつ倒してくれ」
『はーい』
「魔法で簡単に倒せない魔物が居たら俺が相手する」
雑魚に構ってる暇はない。
簡単に倒せる魔物はアイに任せて、俺は走り回る。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
『お兄ちゃん、強いのが居たよ』
「どこだ?」
『そのまま真っ直ぐ』
「アレか」
目の前に、竜人と思われる魔物が居る。
だが、竜人ならこれまで何体も【封殺超爆発】で倒してきた。
それを『強い』とアイは言った。
ということは、何かあるのかも知れない。
「今までの竜人と何か違うのか?」
『えっとね、そいつは竜の時点でS6だったから他の竜よりランクが一つ上だね』
「へぇ、竜にもランク違いがあるのか」
『今までのは火とか水とかの属性があったでしょ? そいつは何の属性もないみたいだよ』
「なるほど。無属性の方が強いってのは面白いな」
『うん。竜人に進化してランクがS7になってるからかなり強いと思う』
「分かった。じゃ、俺が戦ってみる」
──
なるほど、確かにこれまでの竜人よりも強そうだ。
これまでの竜人は人型の竜という感じだったが、コイツはほぼ人に近い。
それに、内在するエネルギーや魔力の桁が違う。
その圧倒的な力を凝縮させて完璧に制御している。
「おっと」
竜人が一瞬で距離を詰めて殴りかかってきた。
シャルロの居合一閃とどちらが速いか分からない程の速さだ。
これはのんびり観察している暇は無いな。
竜人の攻撃を難なく躱したが、攻撃は止まない。
あれだけの速度で突っ込んできたにも関わらず、瞬時に方向転換をして攻撃を仕掛けてくる。
突き、蹴りの合間に息吹を織り交ぜた連続攻撃。
熟練の武道家と戦っているかのような流麗な動きに、つい見とれそうになる。
こっちも攻撃してみようか。
竜人の攻撃を受け流しながら、色んな属性の攻撃魔法を放ってみる。
ダメージは与えているようだが、竜人の再生速度が異常に速いためすぐに回復してしまう。
生半可な攻撃では埒が明かないな。
じゃあこれでどうだ?
さっきの攻撃の数倍の威力、数倍の数の魔法を一気に放つ。
竜人はたまらず攻撃の手を止める。かなりのダメージを与えたようだ。
それでも、見る見るうちに回復していく。
かなりの回復速度だ。
「アイ、戦闘記録は十分か?」
『うん。もう十分とれたよ』
「よし! じゃあもう倒すとしよう」
今までになく戦いを楽しめていたが、あまり時間をかけていても仕方がない。
少し惜しみながら【封殺超爆発】を発動する。
・・・・・・
・・・
やはり、どんなに強くても【封殺超爆発】の凄まじい威力に耐えることは出来ないようだ。
──
『お兄ちゃん、北東にある入り江に強力な魔物が居るよ』
「さっきの竜人よりも強そうか?」
『うん。もしかしたらお兄ちゃんも危ないかも知れないよ。ヤバかったら逃げてね』
「マジかよ。なんて魔物だ?」
『リヴァイアサン。ランクはS8だよ』
「リヴァイアサン!? いかにも強そうな名前だな・・・S8、どれほどの強さなのか試してみるか」
アレか。
遥か前方上空に、ヘビのように細長い龍が浮かんでいる。
リヴァイアサンって言ったら伝説の海龍だよな?
実物に遭遇するなんてワクワクするんだが・・・・・・。
どれだけ強いか分からないし、ヤバくなったらアイの言うように逃げるとしよう。
先に仕掛けてみるか。
アイツは恐らく水属性だろう。極大の落雷を放つ。
海龍は少し痛がっている。
ん? ちょっと怒っている?
突然、目の前から大津波が襲ってきた。
咄嗟に空に逃れたが、そこを狙って海龍が水の息吹を放ってきた。
「グッ!」
なんとか結界で防いだものの、ものすごい威力だ。
ある程度の戦闘記録も欲しいから、色んな魔法を放ってみる。
やはり一番効くのは雷のようだ。
「うぉっ!」
俺が遊んでいるように思ったのか、海龍は激昂して再び大津波を放ってきた。
さらに、上空にいる俺の背後からも大津波が襲い掛かって来た。
虚を突かれ、大津波に呑まれてしまった。
凄まじい水流に身体が引きちぎられそうだ。
持続強化の倍率を30倍に上げて何とか津波から逃れる。
と、そこに再び水の息吹が飛んでくる。
「あっぶねぇ!」
なんとか結界が間に合った。
さらに海龍はその身を鞭のようにして襲い掛かってくる。
俺は結界ごと吹っ飛ばされた。
おいおい、結界もほぼ壊れてるじゃないか。
こいつの攻撃はヤバいな。
「アイ、戦闘記録はどうだ?」
『おっけーだよ』
よし、じゃあ終わらせるとするか。
俺は満を持して【封殺超爆発】を放つ。
結界が海龍を包み込む。
内部に発生させた水を超高熱の炎が一瞬で気化させる!
轟音とともに結界が破れてしまった。
「なにっ!?」
海龍が内側から結界を攻撃したことでヒビが入ってしまい、結界が水蒸気爆発の威力に耐えられずに壊れてしまった。
まさか、【封殺超爆発】が通用しないのか?
【封殺超爆発】に脅威を感じたのか、海龍が猛攻撃を仕掛けてくる。
大津波、大瀑布、水の息吹、体当たり、海龍の攻撃が止まない。
多重結界を何度も張り直し、何とか耐える。
しかし、海龍の攻撃は簡単に結界を叩き壊してくる。
何度も結界を張り直さないと防ぎきれない。
・・・・・・
・・・
待てよ?
ということは、結界を何度も張り直せば・・・・・・よし!
【封殺超爆発・改】
これは結界の多重度を倍にし、かつ、結界が破れた瞬間それをトリガーに次の結界を張るようにプログラミングした改良版【封殺超爆発】だ。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
よし、改良版【封殺超爆発】で海龍を倒すことができた。
まさか結界を破ってくるとは恐れ入った。
「ふぅ、中々ヤバい相手だった」
『お兄ちゃん、アレに勝つなんてすごいね!』
「ま、なんとか、な」
これ以上危険な魔物が居たらさすがにマズい。
それに、ちょっと疲れたな。
俺は一旦マサムネ工房に戻ることにした。
次話は明日アップ予定。
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