第20話 王都
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ものの数分で、アトス達は王都の入り口を視野に捉えるところまでたどり着いた。
フォーレの街とは比べ物にならない圧倒的なスケール。
端から端まで、どれほどの距離があるのか。
侵入を拒む城壁の迫力に、アトスは見入っていた。
「行くか」
いつまでも眺めていても仕方が無い。
アトス達は颯爽と城門をくぐる。
中に入ると、そこには大勢の人がいた。
右から左へ、左から右へと流れる人。
「すごいな」
アトスは始めて都会に出てきた若者のような反応をする。
しばらく散策しても良かったのだが、早速、冒険者ギルドに向かう。
ギルドの場所は行き交う人が教えてくれた。
ガチャリ。
冒険者ギルドに入る。
依頼ボードを確認し、魔物討伐の依頼を探す。
王都だけあって、Sランクの討伐依頼があった。
・A:ケンタウロスの討伐(200pt)
・A:グール×5の討伐(400pt)
・S:バジリスクの討伐(1,000pt)
・S:ウォーウルフの討伐(1,000pt)
「バジリスク以外は知らない魔物だな」
そう言いながら、受付カウンターに向かう。
「これの受注手続きを頼む」
「はい。かしこまりました!」
元気のいい受付嬢だ。
「あっ、初めましての方ですね。私は受付嬢のアイラです。以後、よろしくお願いします!」
「俺はアトス。こちらこそよろしく頼む」
「ボクはオト。よろしくね」
「俺はショウ。よろしく」
挨拶と依頼の受注を終えたアトスが尋ねる。
「鍛冶師を探しているんだ」
「鍛冶師ですね。この街の北西区画に鍛冶屋があります!」
「分かった。それから、この街で商店を開いても問題ないか?」
「商会ギルドにご登録されていますか?」
「あぁ。フォーレで登録した」
「では、ここを出て右に行くとすぐに商会ギルドがあるので、そこで許可を取ってください」
「許可が必要なのか」
「はい。怪しい物を売る商売人も居るので・・・・・・。ちなみに、許可なくお店を出すと逮捕されます」
「それは面倒だな。分かった。商会ギルドに行ってみる」
アトスは早速商会ギルドに行く。
「ワテは『ハリス』。商会ギルドの管理人やってます」
商会ギルドの長は『ハリス』と名乗った。
「アトスだ。この街で店を開きたいと考えている」
「あぁ、アンタがアトスさんでっか。カイルはんから聞いておます。出店許可でんな。すぐに用意しますわ」
「カイルを知っているのか」
「もちろんでっせ。カイルはんを知らん者は商会ギルドにおりまへんな」
カイルは相当有名人のようだ。
それに、知人というだけで顔パスで出店許可をもらえたということは、カイルはかなり信用されているらしい。
「どこかいい場所はあるか?」
「前の道を右に出てしばらく行ったら道が交差してますわ。そこなら人通りが多いさかい、商売繁盛間違いなしですわ」
「ありがとう」
アトスは早速、魔法具と魔法石の商店を開く。
オトとショウを退屈させるのも申し訳なく思ったアトスは、二人に迷宮の調査を任せる。
ハリスの言う通り、ここはかなりの人通りがある。
店を構えたアトスは、早速お試し用の魔法石を使って注目を集める。
何の変哲もない石から魔法が放たれ、場が騒然とする。
「よし、注目が集まったな。成功だ」
アトスはそう思ったのだが・・・・・・
「貴様、何をしている!」
数名の騎士がやってきて、アトスに剣を向けている。
「物騒だな。俺が何かしたか?」
「何かしたか、だと!?」
騎士たちは今にも飛びかかって来そうだ。
「何があった」
立派な鎧を身に纏った男が現れた。
「ハッ! この者が街中で魔法を放ったと通報がありました」
街中で魔法を発動させたのがマズかったようだ。
「ん?」
後から来た立派な鎧の男の顔、アトスは見覚えがあった。
「クリフか」
「アトス! 来てたのか」
「あぁ、さっき来たばかりだ」
アトスとクリフが知り合いだと知った騎士たちは、剣を収める。
「商品のデモをしていたんだが、ここで魔法を使ったなのはマズかったか?」
「あぁ、そういう事か。街中で攻撃魔法を使うのは禁止されているんだ」
「なるほど。なら、これなら大丈夫か?」
アトスは目の前の小範囲に雨を降らせる。
「そうだな、それなら大丈夫だ。念のため、私が許可した証を置いておこう」
そう言って、クリフは魔法使用許可証を取り出し、署名する。
「ところで、商品はあの魔法石か?」
「そうだ。それと、魔法の手という魔法具がある」
一通りの説明をし、デモを行う。
「ぜひ騎士団に導入したい」
魔法の手、魔法石、どちらも街の防衛面でかなりの効果が見込めるだろう。
アトスとしては、一般人、特に行商人や旅人の護身用として広まって欲しい気持ちもある。
騎士団に導入するという件については、後ほど相談させて欲しいと伝え、クリフは了承する。
「そう言えば、あの後ウォーウルフに襲われたんだ。あの時、5分持ちこたえろって言ってただろ? 貰った魔法石のおかげでなんとか持ちこたえていたら、突然ウォーウルフが倒れたんだ。何か知っているか?」
「あぁ、それは・・・・・・」
アトスは自身の魔法を使って遠隔で討伐したことを伝えた。
クリフと騎士団の面々は一斉に大声を上げる。
「とんでもない奴だな・・・・・・」
その話しも噂となって広がり、アトスの店は大人気となり、あっという間に商品は完売した。
「次はいつ入荷するんだ?」
「すぐ用意するから少し待っててくれ」
そう言ってアトスは無造作に転移門を開く。
その場にいた全員が、目と口を大きく開き、絶句する。
アトスはそれに気づきもせず、サダムネから魔法の手を大量に受取り、販売を再開する。
ざわめきが起こり、皆それぞれアトスに聞きたいことがあったのだが、それよりも我先にと魔法の手と魔法石を手に取る。
「魔法の手は一人二つまでだ」
がっかりした者も居たが、二つあれば両手に装着できて、そしてそれで充分だった。
「魔法石が足りなくなりそうだな」
魔物狩りに行けば数百個程度はあっという間に集まるのだが、★★★にするには四つの魔法石がいる。
千個集めても250個にしかならないのだった。
売れ行きはそれよりも遥かに多い。
嬉しい悲鳴だった。
「それなら、冒険者ギルドに依頼を出してみたらどうだ」
クリフが提案する。
「そんなことができるのか」
「あぁ。ただし、依頼達成の確認が必要になるがな」
良い事を聞いた、とアトスは思った。
誰もが鑑定できる★★★の魔法石だけを依頼に出せばいい。
最初は理解されないかも知れないが、誰かが一度依頼達成してくれたら、後は口コミで広がるだろう。
早速冒険者ギルドに行き、依頼を出す。
依頼内容:魔法石(小)★★★×10の採集
報酬:銀貨5枚
魔法石についても説明も簡単に書いておいた。
これが集まるまでは、とりあえず自分で集めればいいさ、とアトスは思う。
「アトス、来れるか」
ショウからの連絡は切迫感を伴うものだった。
アトスは急いでショウの元へ移動する。
──
そこには、ショウだけでなくオトも一緒に居た。
が、オトの様子をみてアトスはギョッとする。
オトは鳳凰の姿に戻っていた。
目を剥いて眼前の魔物を睨みつけ、口からは唸り声のような音を発している。
「何があった?」
「アレは窮奇の眷属だ。鳳凰の仇らしい」
「仇?」
「前に俺たちは生まれ変わりだと言っただろう? 鳳凰が生まれ変わることになった元凶が窮奇ということだ」
「それでオトがあれ程の敵意を剥き出しにしているのか」
「そう言うことだ」
だが、と麒麟が続ける。
「眷属とは言え、まだ若体の身でアレを倒すのは難しいだろう」
「一人でやる!」
オトは興奮している。
言ったところで説得はできないだろう。
もちろん、アトスが強引に引き止めれば、従者であるオトを止めることはできるはずだ。
だが、アトスはそれを望まない。
むしろ、オトに戦わせてやりたいと思っている。
「これぐらいはさせてくれ」
オトに持続強化×10をかける。
「ありがと」
オトは、自身の仇とも言える魔物と対峙する。
鳳凰vs窮奇の眷属の戦いが今、始まろうとしている。
次話は明日アップ予定。
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