第3章 2, 研修旅行②
「あ、エドは研修旅行の班決まった?」
私は帰り道、何気なくエドに尋ねた。
「いやそれが...」
「それが?」
エドは自分の持っていた鞄から何かを取り出した。
ぱんぱんに詰まっていたそれは...封筒だ。
「皆が僕を誘ってきて誰と組めばいいのか……」
「た、大変そうだね...」
流石主人公、モテ度合いが異常だ。実際今私たちは昇降口を出て歩っているところだか男女問わず、ちらちらと視線を送ってくる。
美しいのは罪だなぁ……。
✧︎*。
「アレン、おはよー」
「ん、はよー」
私は教室に入るなりアレンに声をかけた。
「研修旅行のメンバー決まった?」
「……」
アレンは黙って頷いた。どうしたんだろう。
「誰なの?わっ!?」
アレンが私の腕を引っ張り、私の耳を自分の口元に近づける。
「ジアンだよ。」
「なるほど〜……」
なぜ小声で、?
「ルア、あいつに変なことされてないよな...?」
うん?
「え、え?」
「どうなんだ?」
アレンは私の腕を離すとこちらを真剣に見つめてくる。その目には心配、怒りの色がうかがえるように見える。
「特になにも...、急にどうしたの?」
「なにもないならいいんだ...。」
それ、私が気になるんですけど。
「...帰り、図書館に来て。」
「ん。」
私は約束をとりつけてアレンの席を後にした。
「ジアン様おはようございます。」
「おはよう。」
私は挨拶をして席に着いた。
隣の席のジアン様はなにやら難しそうな本を読んでいる。
「同じ班になりましたね。」
私は話をもちかける。
アレンがあの様子だったからジアン様と話すの怖いんですけど!!
案の定ジアン様は嬉しそうに微笑みながら、
「あぁ、ルアと一緒になれて嬉しいよ。」
と口にした。
「私もです〜...」
その笑顔が怖いよ!!
ジアン様はなぜか私の髪を触り始めた。その手つきは優しく、少し心地がいいと思ってしまった自分がいた。周りの視線が痛いけどね。
「あの、なにか?」
「ルアの髪は美しい色をしていると思ってね。」
それだけ?
私が頭にはてなを浮かべていると大きな音がした。
" ガタンッ "
「...?」
音のした方を向いてみれば、アレンが今にも人を殺めそうな目で私たち、正確にはジアン様を見つめていた。