第2章 6, 誰ですか!?
なんだか昨日の今日で疲れが取れていない。
昨日は、ジアン様と別れてからエドを探すのにどれだけ時間がかかったことか…。何十分も迷った挙句、エドの方が私を見つけ出したくれた。
ちゃんと校内の構造覚えておかないとな…。
私はそんなことを考えながらまだ人が少ない階段を登っていく。さすがにこの時間に登校するのは早すぎたかな…?きっと新学期はテストがあるはずだから今のうちから勉強しとくのが身のためだし、早く教室行って勉強しよ。
私が階段を登り切った頃にはとても誰かと話せる状態じゃなかった。息切れしすぎてね。
ガラララッ
教室のドアを開けるとすでに人影があった。
「おはよう…?」
「ん、ルア早いな。おはよう。」
にっこにこの笑顔で私の手を握って来た人。
そんな人いたっけ。
「え、誰?」
「ははっ、また忘れたふりする気?」
……このセリフ…聞き覚えがあるような…
まさか…いや、まさかそんなはず…
「ジアン様…?」
「正解。今日は記憶喪失なってなくてよかったよ。」
「いや、やっぱ誰!?」
「いやだから」
「この性格だよ!!」
1日で人格変わった?多重人格なの?この人。
「…だいぶ小さい頃はこんな感じで接してたからいいかと思ったんだけど。」
「え……」
それってあの喧嘩みたいことする前の出来事なのかな…?それにしてもほんとにこんなに人変わるもの!?
「記憶ないなら俺が教えるから任せてほしい。」
…
「…なんで手を握るんですか?」
さっきからずっと手を握ってくる。私手汗かかないか心配なんだけど…。いやというかこれ誰かに見られたら私の楽しい学校生活1日で終わるよ。ジアン様ファンクラブによって。
「握りたいから握っている。」
ほんとに大丈夫?
私のことおとそうとしてる?
「私勉強するために早く来たんですけど…。」
するとジアン様はあっという顔をした。
「今日はテストがあるから頑張るんだ、ルアはえらいな。」
そんなことを言われたけど私には3文字しか耳に入らなかった。
「テスト…!?!?!?」
「あれ、ちがった?じゃあ自主学習か。」
「そうじゃなくて!今日テスト!?」
「ん、あぁ。」
はい終わったー。私には日本での義務教育くらいまでのことしかまともにできませんー。
…どうしよう!?!?!?!?
8時を知らせる鐘の音が聞こえてくる。
「終わりのチャイムだ……」
「これは8時のチャ」
「知ってますから。」
今からでも教科書読むしかない…!!!
「私今から勉強するので話しかけないでくださいね。」
「わかった。」
私が教科書を読んでいる横で、彼は痛いほどの視線を私に送っていた。