表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/104

95.


 帰ろうとしていた歩みを止めるボク。

 そして少し考える。

 果たしてその声が本当にキミなのか。



 でも、もしキミが本当に助けを求めていたら?

 ボクはキミに助けてもらってばっかりで、何もキミに恩返しできていない。


 東京に行ったときもそう。

 ボクは自分自身にいっぱいいっぱいになっていて、

 結局キミに何も恩を返してあげれていないのだ。


 ゴクリと唾をのむ。

 決心した。


 もし例え聞き間違いだとしても、

 怒られるのも、殴られるのも、慣れている。


 近所迷惑だ、と怒られてもいい。

 ボクはキミの助けになりたい。


 ドンドンドン


 今度は壁を強く叩く。初めてキミの名前を大声で叫んだ。

 それほど必死だった。


 ずっと学校に来ていないのは、

 実はボクに罪悪感を感じていたからではなく、

 家庭で何かあったのではないか、と。

 何かだか奇妙な胸騒ぎを感じる。


 扉の奥からは返答はなかった。


 ガチャ


 けれどドアノブを回すとその扉には鍵がかかっていなかった。


 この際、キミの保護者に不法侵入で怒られてもいいや、と決心した。

 何よりもボクはキミの助けになりたかったから。


 ボクは玄関扉をあけた。あけてしまった。


 パンドラの箱を。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ