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88.

 「な、え、な、え、な…何でこんなとこおんねん」


 ボブ女を苗字ではなく、名前で呼ぶアイツ。

 ボクは女の子を苗字以外で呼ぶことはないから、

 それだけでこの二人の関係が

 ボクの想像以上に親密なものであると勝手な想像をする。


 いつもと違い少しどもるアイツが少し滑稽で、

 ボクは憐れんだ顔を浮かべ、男の顔へと視線を上げる。


 「こっち見んな、クソが」

 「ちょっと!」


 再度ボクの腹を思いっきり蹴り上げるアイツの前にボブ女はやってくる。


 「なんでいっつもこの子をイジメんの!?」

 「お前に関係あるんか」


 ああ。コイツはこの子のことが好きなんだ。

 直感で感じた。

 どれだけ強く冷たい言葉を放っていようとも、

 それはボクに落とす言葉の雰囲気とはまるで違う。

 言葉の端々が少し高くなっていることで、そこから愛おしさの感情を感じる。


 「ウチ、この子のこと好きじゃない!

  何回も言ってるやんか!他校の子やって!」


 ボブ女の声は震えている。

 怖いのか、泣いているのか。うずくまったままのボクは分からない。


 「それに、人に暴力振るう人なんて、

  ウチは絶対に好きになったりしやんねんから!」



 何がどうなったのか。

 本鈴が鳴ると同時にアイツはボクたちの前からフラフラと立ち去って行った。



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