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86.

 次の日、教室に入るとなんだかざわざわと騒がしかった。

 好奇の目をあちらこちらから感じるけれど、

 それらの視線はボク自身に向けられているものではなかった。

 不思議に思い、周りを見渡す。

 教室の窓際の席で

 一人女の子がたくさんの女子に囲まれているのが目にはいった。


 「可愛い~」

 「そっちの方が好き~」

 「え、でもなんで急に??」


 褒めているのか、心配しているのか、ただの野次馬なのか…。

 語尾が伸びた言葉遣いはボクにとっては苦手なもの。

 でも、周りの男子も女子生徒たちの会話に耳を立てている雰囲気にボクも興味がわいた。

 じっと女子生徒たちの集まる輪を見つめる。

 たくさんの女子の中心にいる女の子の姿がちらっとだが目に入った。

 ボクはその姿に息をのみ、その席の主に目が釘付けになってしまう。


 確かに、以前よりもずっとその姿は似合っている。

 お世辞ではなく、心からそう思う。

 ただ理由は分からないけれど昨日とは随分と違うその姿に、

 ボクは胸がキューっとなる息苦しさを感じる。



 彼女はいつものお団子頭のスタイルをしていなかった。

 ばっさりと綺麗に切られたその髪型は

 女の子の中で流行っているボブというものに変わっていたのだ。


 女の子が長い髪を切る理由。

 それを知らないほど、ボクは世間知らずではない。


 「おい、面かせ」


 元団子頭が誰かに失恋したのかもしれない。

 そう思うと同時に、頭上から冷ややかな声が落ちてきた。


 久々に聞くこの威圧的な声。


 アイツの声。


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