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81.

 「こんな話、ひいたろ?」


 キミは思いっきり首を振る。振動が腕越しに伝わってきた。

 キミは必死に否定するけれど、ボクは分かっている。

 ボクにはあの男の血が半分流れているから、

 ボクもヤツの残虐性を引き継いでいる。

 それは変わることのない事実。



 「その後誰が呼んだのか、警察と救急隊が来た。

  ボクの力は弱くあの男は重傷を負っただけ。

  命に別条はなかった。

  ボクにとってそれが吉とでたのか、凶とでたのか…。

  まだ小学生だったこともあり、

  一連の行為は防衛行為として、事件にされず見送られることになった。


  だけど、その後次々に色んな事が明るみに出たんだ。


  あの男は小児性愛者。ただのロリコン。

  ただ、普通の人とは違っていて、

  性的感情が芽生えるのは、幼女や少女に対してではない。

  女の子ではなく、あの男は声変わり前の男の子が好きだったんだ」



 キミもなんと声をかけていいのか分からないのだろう。

 暫くの間沈黙が続いた。

 キミの反応はなかったけれど、ボクは話を続ける。



 「その後、女の子を殺した凶器が見つかった。

  男の指紋と女の子の血液がべったりとついたもの。

  それが証拠となり、男は緊急逮捕されたんだ。


  あの人はずっと昔からボクの元親友に行為を持っていたらしい。

  全く気が付かなかったよ。

  でもその後、ボクと同じように可愛がっているとばかり思っていた行為も、

  実は性的に行っていたことだと知って、ボクは吐き気が止まらなかった。


  男はね、彼との少しの肌と肌の触れ合いだけで初めは満足していたらしい。

  でもボクから両想いと聞いて、

  あふれ出てくる焦りの感情を止められなかったらしい。

 

  自分の好きな男の子がその子にとられると思ったあの男は、

  河川敷で女の子に話しかけた。

 

  殺人理由を聞いて、ボクは腰が抜けたよ。

  

  その女の子が会話を嫌がったから、だって。

  いい子なら良かったけど、

  礼儀のなってない子に男の子を取られたくなかったから。

  だから執拗に近くの石で顔を体を何度も殴って、

  キャンプ用で元々持っていた十徳ナイフで顔を切り刻んで…。

  アイツはそれを〝躾〟って言ってた。

 

  その後いつ警察にバレるか恐怖を覚えた男は母さんに当たる様になって…。


  加え、インターホン越しに聞いた久しぶりの彼の声。

  感情が抑えられなくなったらしい。

 

  どうせ捕まるなら、最後には好きな人を自分の手で〝男〟にしたいって。

  だから、襲ったんだ。

  そんな自分勝手な感情でさ」




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