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07.
夕方のこの時間のネコヤギは、基本大学生と高校生の数人とボクしかいない。
みんな各々、学校のテストや課題や受験勉強で黙々と勉強している。
そう、キミ以外は。
「……」
「……」
「………」
「………」
「…………」
「…………」
ガタッ
キミの視線に耐えきれず、肩を叩き部屋の外へ出るように促す。
「どうしたの?」
あっけからんとした口調。本当に何も分かってないみたいだ。
「キミは何してるの?」
「なーんにも」
無邪気に笑う。ボクはキミの視線が気になって気になって勉強に身が入らないのに、どうやらキミは悪いことをしていると一ミリも気づいていないらしい。
「勉強しないの?」
「今更でしょ?学校行ってへんし、もはや、何が分からないのかも分からへんポンコツ脳やから…」
「分かったよ」
キミに八つ当たりした時の詫びの機会が来たと思った。ボクの取柄はこれしかない。だから決めたんだ。
「あの部屋は喋っちゃダメだから、会話OKの部屋へ移動しよう?ボクがキミの勉強を見てあげる」
こうしてボクとキミの奇妙な関係が始まった。