表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/104

71.

 ホテルのルームサービスを利用することにしたボクたち。

 けれどボクは頼み方が良く分からなかった。

 だから、食事を選ぶのも、注文するのも、全てキミに任せることにした。


 食事の注文はカラオケルームのように壁についた数字の押せない受話器から。

 ご飯の受け渡しとその支払いは、

 全て入口の隣りにある小さな正方形の扉からだった。


 「まるで刑務所みたい」


 と呟いたボクに、


 「予行練習みたいでええやろ」


 とそれすら楽しむキミ。


 いったい何の予行練習なのか。ボクは大げさにため息をつく。


 ご飯をたらふく食べ終えた後、キミは煙草に火をつける。

 ほのかに香るバニラの匂いがこの部屋に充満し、

 カビ臭い匂いを上書きする。

 

 「昨日は吸ってなかったろ?」

 「色々あって持っていくの忘れていたからね」

 

 ヘラヘラ笑うキミ。


 「体に悪いからやめなよ」

 「この匂い嫌いなん?」

 「そういうわけではなくて…」


 眉間に皺寄せるボクの顔をみたキミは、

 ボクに言われるがまま煙草の火を消した。



 いろんな感情が右往左往したとても濃い一日は

 こうして終わりを迎え始めていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ