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05.

 キミはまるで時が止まったかのように固まってしまった。

 しまった、なんて後悔してももう遅い。

 ついボクの口から出た本音がこの柔らかい空気を一気に凍らせてしまったのだ。


 慌ててキミの指からタバコを抜き取り、見よう見まねで吸う。


 ゴホゴホ


 初めてのタバコ。煙を急に入れ込みすぎたからむせてしまう。


 ゴホゴホ


 目が涙で潤みはじめてきた。

 

 「うん…、せやんね。ごめん」


 ボクの咳の音に隠れてキミはそう言葉を落とした。

 でも、ボクは恥ずかしかった。

 無理やりキミに言わせてしまったようだったから。

 たまらなく自分がかっこ悪いと思ってしまった。


 「キミもシラガに言われたの?」


 だからキミの謝罪に聞こえてないフリをした。


 「何が?」

 「トイレ掃除」

 「そう…」

 「ごめんね、ボクのせいで。キミ、関係なかったのに…」

 「アンタのせいじゃないよ」


 気まずい空気に耐えきれなくなったからなのか、キミは自分のためにもう一本タバコに火をつける。


 「ホント、ごめん…」


 キミの消え入るような声。ボクはそっとそっぽを向く。


 いつの間にかボクのタバコの火は消えていた。

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