52.
キミはいろんな場所に行きたがった。
「わんちゃん見たい!」
とそのままハチ公へ。
「思ってたより、大きい…」
「へ?」
「皆小さい、って言ってたから気になってたのに、
思ってたよりずっと大きくない??」
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「東京のファションみたい!」
と竹下通りへ。
「みてみて!う〇ちしろって!変なの~」
「へ?」
「TAKE SHIT A STREET!!」
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「歩き疲れた!」
と代々木公園へ。
「逆に疲れるわ!ここ!」
「へ?」
「この公園広すぎやない?もう無理。歩けん!」
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「お腹減った!」
とコリアタウンへ。
「ここだけ祭りしてるみたい」
「へ?」
「屋台多すぎ。食欲増幅してまう…」
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「今度こそ休憩しよ!」
と水族館へ。
「私も空を泳ぎたいな~」
「へ?」
「でも、所詮透明なだけの檻ん中やもんね…」
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「お土産買いたい!」
と巣鴨地蔵通りへ。
「あ、このあんパン有名やねんで!あと、豆大福も!」
「お土産は?」
「美味しいもの食べたっていう思い出がお土産やねん!」
キミに振り回されながらもなんだかんだ楽しく過ごしていた。
ボクはこの時『なんでだよ』と心の中で一人ツッコミをしていたのだが、
確かにこの記憶はキミから貰った
最初で最後のボクにとってのかけがえのないお土産となった。




