48.
「新幹線の中で食べたかってん」
電車を乗り継いで、その後新幹線へのホームへと上がる。
途中、お腹減った時の為に、とキミが大量の駅弁を購入する。
「電車の中で、駅弁を食べるの憧れてたから。
もしかしたら今日が最後かもしれへんし…」
そう言って悩んで悩んで決められらなかった駅弁を大量に手にとって、
ボクたちは自由席のホームへと並ぶ。
「これ、持ってて」
そう言って弁当を入れたビニール袋をボクに渡してくる。
「自分で食べる分くらい持ちなよ」
「分かってないなぁ」
ボクの意見にキミは眉を下げて、残念そうな顔で見つめてくる。
「自由席やから早いもんがちやんか」
「??」
「ウチがダッシュで二人分の席を確保すんねんから、
アンタはそれを零さんようにに持ってくる係やん」
~♪~♪~♪~
軽やかな音楽がホームに新幹線の到着を知らせる。
ホームに新幹線が来たのと同時に、
キミはその扉の中へと吸い込まれるように走っていった。
「こっちこっち」
ビニール袋を抱えて中に入ったボク。
二人分の席を確保したキミが誇らしげに手を振っていたのを見て、
少しこそばゆい思いを感じた。




