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41.

 キミがボクに自分から言ったこと。

 期末テストで一つでも平均点以上を取ったら、一つ願いごとを聞くっていったあの約束。

 

 ボクはキミと早く我が家から立ち去りたくて、

 なぜか今この提案をする。


 「もし期末でどれか一つでも平均点を超えられたら、かなえてほしい願いがあるっていったろ?

 「え…。うん…」

 「東京に行きたいって言ってたけど、それって見回りおじさんに会いに行くことじゃないの?」

 キミは黙る。でもそれが答えだってことはすぐに分かった。

 「だから東京にいこう」

 「……」

 「よし、今から行こう」

 「え、今から?」


 キミが豆鉄砲を食らったような不思議な顔をする。


 「思い立った時に行かないと後悔すると思って…」


 自分でそんなこと言って現実味がないことくらい分かりきっていた。


 「急すぎやん?」

 ケラケラとあっけからんと笑うキミ。

 「そもそもお金はどうするの?」


 「それは…」

 確かに。ボクはアイツらにたかられてたから、

 今十分な持ち合わせなんてない。

 先月のお小遣いを足しても、

 とてもじゃないけど東京へ行く片道分にもならない。


 ボクは言葉を探す。

 「キセル乗車…とか?」


 「あかんよ」

 キミは呆れたようなため息をつく。

 ボクは赤面してしまう。


 「でも、キミはボクと一緒にいることでアイツからボクを守ってくれたろ?

 今度はボクにも何か手伝わせてくれよ。確かにお金はないけれど…」


 「ありがとう」笑顔のキミ。「それだけで十分」



 ボクはキミに何もしてあげられない。

 悔しい。

 そして、ボクのふがいなさに感謝してくれるキミ。

 まぶしい。


 「一人で行くのは少し心細かったから…」


 ん?


 まさかのキミの発言に顔を上げるボク。


 「お金はあるの。本当についてきてくれる?」


 キミのその揺らぐ瞳に、ボクは頭を強く振った。

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