03.
「お前たちは罰として運動部の部室裏のトイレ掃除な」
担任は分かってるハズなのに。ボクが虐められていることを。けれども罰はアイツと一緒にやれと言う。
ほら見ろよ。今ボクがどうなっているか知ってるか?
「「「なーめろ、なーめろ」」」
中間テスト前。
部活動がないこの唯一の静寂週間に担任がこんな罰を出すもんだから悪いんだ。
ひっそりとした部室の裏のトイレは教師も誰も助けに来ない格好のリンチ場。
取り巻きAとBがアイツに合流して一緒になってボクに命令してくる。
汚いし、臭いし、そんなの嫌だ。
だけどボクの意見なんて通らない。
「「「なーめろ、なーめろ」」」
「ほら、さっさとやれよ。こーすんだよ」
アイツがボクの頭を掴んで便器に擦り付ける。
ツンとした独特の匂いが顔いっぱいに広がる。
「きたねー」
取り巻きAはそう言いながら、スマホで動画を撮っている。
「やべーよ。きめーよ」
取り巻きBはそう笑いながら、床を拭いた雑巾でボクの涙を拭く。
舐めなきゃ終わらない。
でも、舐めても終わらない。
いつまでこんな地獄にいないといけないのか…。
もう生きている意味が分からなくなっていた。